以前、協定通路の話題を取り上げた。
せっかくなのでその先、位置指定道路の造り方についてもふれておこう。

位置指定道路とは、道沿いの住民や関係権利者が土地を提供して建築基準法上の道路を造り、特定行政庁から指定を受けるという仕組みだ。
沿道の人々が従来通行に使っていた土地を道路に格上げする、もしくは広い土地を分譲して道路を造る場合に使われる。幅員や接道義務を満たすよう道路境界線を引き、人為的に位置を指定することからこう呼ばれる。

協定通路と同じく専門的な作業であり、実際に道路を造る工事も発生するため、土地家屋調査士や測量士といった専門家が主導することになる。

【1】事前相談
まずは、役所の担当窓口に申請書類や手続き方法を確認する。
下記の書類は最低限必要で、場合によっては追加される。
3の申請図はA2サイズで求められることがあり、作成に留意したい。

  1. □ 申請書(役所でひな型をもらう。注意事項に従って記入)
  2. □ 委任状(代理申請の場合)
  3. □ 申請図
  4. □ 申請する道路および道路に接する土地、建物の登記事項証明書(申請日前3か月以内のもの)
  5. □ 4の権利者の印鑑登録証明書(申請者分は申請日前3か月以内のもの、その他関係権利者分は承諾日の前後3か月以内のもの)

最初に決めておくべき事項は道路の「管理者」。
位置指定道路は私道なので、関係者による適切な管理が必要。通常、一連の書類の申請者と同じ人が管理者になるようだ。
ただ、管理者ひとりで全部背負うわけではない。あくまで代表者の意味合いなので安心してほしい。

事前相談と並行して行うのが、関係権利者の意見調整。
最終的に権利者全員の印鑑登録証明書を揃えるため、抜かりなく道路築造の趣旨を共有しておきたい。関係者だけでは難しい作業なので、土地家屋調査士の協力を得て行おう。

意見調整が完了したら測量、図面作成。
図面を申請図に反映させて、計画内容に実印で承諾印を押してもらう。
遠方の人が含まれる場合、すべての承諾印をもらうのに半年以上かかることも。無駄なく的確に、かつ粘り強く進めたい。

【2】申請受付
申請図に関係権利者全員の承諾印が押されたら、上記1~5の書類を窓口に提出する。
1、2は原本とコピーを各1部。3はコピーを3部取っておく。手数料は5万円程度が相場のようだ。

なお、申請から道路の指定・告示までの期間は、権利関係の移動を起こさないよう注意。4の登記事項証明書をなるべく申請直前に取り、従来の関係権利者と一致しているか確認しておきたい。

                「位置指定道路」申請図の記入例

【3】書類審査・現場検査
書類審査を通過すれば、道路工事スタート。
工事が完了したら、役所へ報告。続いて現場検査が行われる。
言うまでもなく、当初の申請図どおりに完成されているかがポイント。この段階で申請者、管理者、一般の関係権利者が直接何か対処することはないだろう。

なお、実務上は申請受付前でも工事の着手は可能だが、トラブルにならないよう役所との協議を済ませておくこと。

【4】指定・告示
現場検査に合格すれば、2~3週間で道路の位置指定が行われ、告示とともに、晴れて道が建築基準法上の道路となる。
また、申請者へは道路位置指定(もしくは指定変更・指定取消)通知書が交付される。

協定通路と同じく、事前相談から最終の着地までは数か月かかる。関係者の数が多ければ、承諾印をもらうだけで半年以上かかるケースもある。

ここまで読んだあなたはこう思うかもしれない。
「人間関係が複雑なご時世、全員がすんなり協力するとも思えない。何軒かそっぽを向くへそ曲がりがいるんじゃないの?」
まさにそのとおり。
そんな壁にぶち当たったときのライフハックは改めて紹介します。

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