ロンドンのナショナル・ギャラリーで展示されているゴッホ作の絵画「ひまわり」にトマトスープが掛けられるという事件があった。
騒動の主は環境団体のメンバー。
化石燃料を使う新規プロジェクトの停止をイギリス政府に求めるのが目的だったそう。
そもそもやっていることが滅茶苦茶だし、手段と目的の間に何の関連性も見つけられない。
“環境保護活動”としては悪手中の悪手。
日本国内では「食べ物を粗末にするな」という反応がSNSを中心に巻き起こっていたから、真似する人はそうそういないだろう。
一部のこういう人がいるために、環境保護や自然保護を主張する人たちは、世間から色眼鏡で見られがちだ。
ただ、話を聞いて納得できないこともあれば、納得できることもある。
活動そのものを一律否定するのではなく、是々非々でとらえるべきだろう。
とはいうものの、身近な人間関係を円満に保ちながらこうした活動を行うのは至難の業。特に地方の移住先では……
こんな実話がある。
とある町で持ち上がったトンネル新設工事計画。
開通すれば隣町とのアクセスが劇的に改善する。
ただ、この工事は貴重な水源を破壊してしまう恐れもある。
そんな状況下、工事反対の意思を示した移住者が地元住民から反発を受けてご近所関係が気まずくなり、結局せっかくの新居を売ることになってしまった(弊社販売物件とは無関係です)。
こうした失敗をしないため、うまく活動するにはどうすればいいのか。
心構えの基本を紹介しよう。
1.ひとりで主張しない
“社会的な”活動の根っこは、課題を複数人で「やっぱりおかしいよね」と共感できるトピックであることが条件。
ひとりよがりの活動は勘違いの可能性があるし、周りから「ただのクレーマー」と受け取られかねない。
本当にその“問題”は問題なのか。
取り上げて訴える価値があるのか。
まずは個人的に考え方が近く、裏切らないであろう人にこっそり相談することが大事だ。
2.近所の人に直接共感や支持を求めない
自分のやっていることが正しいと思うと、どうしても視野が狭くなりがち。周囲にはさまざまな立場や考えの人がいることを、常に意識するべきだ。
いきなりお隣さんを訪ねて支持を求めても、高い確率で戸惑われてしまうだろう。
ある種の熱心な勧誘を受けて不愉快な思いをした経験はないだろうか。
おそらく相手はそんなふうに感じ取る。
主張を訴えるなら、公共施設での展示会やイベントなどを活用するのが常道。
来たい人は来て、くらいの心の余裕が大切だ。
3.SNSの使い方に注意
地域を問わず社会活動の重要なインフラがSNS。ただ、使い方を間違うとトラブルになりうる。
発信しようとしている情報が正しいものか、情報源は信頼できるか、最新のものかなどを吟味する必要がある。
また、媒体別に見れば、Facebookでは基本的に個人名が明らかなので、知人友人との衝突がありうる。
Twitterではリツイートで一気に情報が拡散されるので、アカウントの匿名顕名問わず、対応に手を焼く可能性がある。
何か主張するときは、一定程度人が離れることを覚悟しなくてはならない。
それが嫌ならグループアカウントの「中の人」として活動するか、誰かの意見への「いいね」にとどめるかが無難だろう。
地方移住を志す人々のなかには、生活環境や社会に何らかの疑問や向上意識をもっている人が多い。
それはそれで素晴らしいのだが、いざ新天地に身を置いたとき、両刃の剣になりかねない。
うまくバランスをとりながらリスクを抑え、楽しく円満な方法で表現することを意識しておきたい。