以前、移住先での仕事を考えるというテーマで、ペンション経営のことを取り上げた。
今回はその続き。
実際に営業を始めるためには、さまざまな手続きを経なくてはならない。
その具体的な手順をみてみよう。
主にこんな流れで進めることになる。これは山梨県の例だ。
なお、重要な点が一つ。山梨県を例にとると、現在営業中のペンション物件を不動産売買で引き継ぐ場合、新規で営業許可を取り直さなくてはならないのだ(相続、M&Aなどの場合は現在の許可を引き継げる)。
ただし、この場合はほぼ上記の③から手続きを開始するため、多少は楽になる。
ここから先は営業中ペンションを売買により引き継ぐパターンで説明しよう。
営業許可取得にかかわる役所窓口は主に二つ。保健所と消防署だ。
順番としては消防署によるチェックが先(③に当たる)。
ここで合格してから保健所に申請する(④に当たる)。
彼らがどのような点をチェックするのか、ざっと挙げておく。
1.消防署のチェック項目
・消火器、自動火災報知機が有効かつ適切に設置されているか
・避難誘導灯は付いているか
・非常口がふさがれていないか
・カーテンが不燃性の素材で作られているか
・タペストリーやのれんなど、燃えやすい物が壁や出入口にかかっていないか
・燃料タンクの近くに木造の物置などが設置されていないか
など
2.保健所のチェック項目
・申請時の図面と建物の構造、設備が一致しているか
・部屋の㎡数に見合った定員数(ベッド数)か
・洗面所、トイレ、浴室の数が階ごとの定員数に見合っているか
・一部のトイレが物置など別の用途に使われていないか
・厨房の設備(手洗い場、シンク、冷蔵庫、ガスレンジなど)が適切に配置されているか
・厨房の換気、害虫防衛設備(網戸など)が適切に保たれているか
など
簡単にいえば、消防署は火災につながる危険が潜んでいないか、保健所は衛生面の条件がしっかり確保されているかを見るというわけだ。
極端におかしなことをしていなければ通常はクリアできるはずだが、保健所で再調査になった場合、余分に2か月以上かかることもある。とんだ時間のロスを招かないよう、慎重に準備したい。
なお、消防署、保健所とも申請から許可証交付まで、スムーズにいけば約1か月。
消防検査は無料。保健所調査は旅館業関連に22,000円、飲食関連に17,000円(いずれも収入印紙納付)を要する。
消防検査の申請は窓口直接が条件なので、遠隔地の場合は日程調整に注意したい。
保健所調査の申請は郵送も可能だが、申請者の担当名、連絡先をメモでもいいので明記して同封する必要がある。