
家を売って譲渡益が出ると、もちろんそこに税金が発生する。
ただし、その課税に「待った」をかけることができる。
同時期に新居を買い換えていれば、課税のタイミングを引き延ばすことができるのだ。
例えば、15年前に古い家(これまで住んでいた建物と土地をこう呼ぶことにする)を3000万円で買っていたとする。
このたびその古い家を8000万円で売却。
直後に1億円で新しい家(同じくこれから住む建物と土地をこう呼ぶ)を購入したとしよう。
通常、古い家の譲渡益5000万円が課税対象となるのだが、特例により今度新しい家を売るときまで譲渡益への課税を待ってもらえるという制度だ。
これを「特定の居住用財産の買換え特例」という。
ただしこれには条件がある。
次の9条件に該当しなくてはならない。
(1)古い家は売った年の1月1日に所有10年超であること
(2)古い家は居住して10年以上であること
(3)古い家の売却代金は1億円以下であること
(4)新しい家の床面積は50㎡以上であること
(5)新しい家の土地面積が500㎡以下であること
(6)新しい家が中古住宅の場合、取得日から25年以内に建てられたものであること
(7)新しい家が一定の耐震基準を満たすこと
(8)古い家を売った年およびその前年と翌年の3か年の間に新しい家を買うこと
(9)古い家を売った年の翌年12月31日までに新しい家に住むこと。ただし、売った年の翌年に新しい家を買った場合はその翌年12月31日までに住むこと
将来課税されるときの状況をみてみよう。
例えば1億円で買った家が1億2000万円で売れたとする。
このとき
①新しい家の譲渡益2000万円
②古い家の譲渡益5000万円
の合計7000万円に対して課税されるというわけだ。
逆に、新しい家が5000万円でしか売れなければ、
①新しい家の譲渡益マイナス5000万円
②古い家の譲渡益5000万円
を通算されて非課税となる。
なお、
・居住用財産の特別控除
・居住用財産を売ったときの軽減税率の特例
・居住用財産の譲渡損失についての損益通算および繰越控除の特例
・収用等の場合の特別控除
とは重複適用ができない。
事前に条件を確認しておこう。