自動車をもたない人も無理なく暮らせる移住先は果たしてどこだろう。私の経験からおすすめしたい場所は次のとおりだ。
1.長野県安曇野市
長野県のほぼ中央に位置し、新宿駅から特急利用で約3時間30分。雄大に連なる北アルプスの眺め、泉質軟らかな美肌の湯、みずみずしい野菜やわさび、そばを育む清冽な水など、自然の魅力に富むエリアだ。
こちらが八ヶ岳南麓と異なるのは標高差の少なさ。全くないわけではないが、少なくとも電動アシスト自転車でカバーできる範囲に収まる。
スーパー、ホームセンター、コンビニ、郵便局、銀行など主たる生活施設は自転車で行き来できる。かつ、わりあい開かれた土地柄なので、外から来た人も比較的なじみやすい。
文化面も充実している。中央図書館へはぜひいちど訪れてみてほしい。私は図書館が地域の顔だと考えているのだが、こちらの蔵書予定冊数は20万冊。木の温もりと空間の豊かさを感じさせる造り、バリアフリーを意識した単階の構成は目を見張るものがある。
物心両面で都市の快適さを失わず、かつ自然の恵みを日々体感したい方には強くおすすめしたい場所だ。
2.山梨県北杜市須玉町
北杜市といっても全域が八ヶ岳南麓にひとくくりにされるわけではない。いわゆる平成の大合併で8町村がひとつになった市であり、多様性のある地域なのだ。
その中で車なし生活が楽しめる場所の筆頭は須玉エリアだろう。標高500mほどの地区に生活施設がコンパクトにまとまり、市役所もここにある。
さらに助かるのは中央自動車道が町中心部を貫いているため、新宿と結ぶ高速バスの停留所があり、遠距離アクセスにも優れていること。都内からノーマイカーでらくらく移動できるというわけだ。ちなみに新宿からの所要時間は2時間15分ほど。金帰月来で往復する人にもおすすめできる場所だ。