さて、前回の続きだ。
さらっとおさらいすると、テーマは無人でほっからたしのため荒れ放題の土地。
そこから生まれる弊害を一掃してくれるのが
所有者不明土地管理制度
というお話だった。
では、実際にこの制度を利用できる人(請求権者)は誰なのか。
具体的には、以下のような人たちが想定されている。

1.荒地所有者の親族
まず請求権者の筆頭候補は、荒地所有者の身内の人々だ。
従来の制度では、不動産以外の財産も含めて管理を求めるしかなかった。
対象となる財産の範囲が広く、手間もコストもかかるため、親族ですら及び腰にならざるをえなかった。
ところが今回の法改正では、土地または建物だけの管理を請求できるので、ぐんとやりやすくなった。
ご近所との関係が濃い地方では、願ったり叶ったりのはずだ。

2.隣で困っている人たち
それから荒地の隣人たちだ。
新制度の背景には、
「周囲の土地に具体的な被害が及ぶ前に管理人を選任し、適切に管理することが望ましい」
という考え方がある。
荒地所有者の所在を調査したが、どうにもらちが明かない。連絡の取りようがない。
そんなときこそ、この制度の出番となるのだ。

3.買受人
この人が今回の目玉である。
ほったらかしで周りに迷惑をかけるくらいなら、いっそしっかりした人に所有権を移せばいいという、大胆かつもっともな理屈。
買受人の立場からするとこうだ。
買いたい土地の登記簿謄本には、昔むかしの恐らくご存命ではない方が所有者として載っている。
その相続人とは連絡の取りようがない。
また、他人の戸籍を請求する、いわゆる第三者請求は、一般個人が行うには相当ハードルが高い。
以前ならそこであきらめていたのが、新制度が施行されれば、裁判所に「所有者不明土地管理命令」の申し立てが実行できる、といわれている。

実際の運用に入らないと請求権者の範囲ははっきりしないのだが、おおよそこんな感じだといわれている。
さて、ここまで記事を読んだあなたは、ある考えを抱くかもしれない。

そもそもこうしたトラブルは、謄本記載の所有者がちゃんと更新されていれば起きないのでは?

まさにそうなのだ。
その解決のため、また新たな矢が放たれている。
続きはまた今度です。

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