かつて地盤調査の方法とその効果的な使い方というテーマで、地盤のことを取り上げたところ、
「お金をかけず、もっと簡単に地盤の様子を知る方法はないの?」
という反響が。
そんなご要望にお答えし、今回は地盤の強い場所、弱い場所をチェックする、簡単でわかりやすい方法を紹介しよう。

1.神社やお寺が近くにあるかどうか
一般的に神社やお寺が立っている場所は、自然災害に強いとされている。
寺社仏閣は人々の平和と安全を祈願するための精神的支柱でありランドマーク。氏子や檀家の寄進も使われる。簡単に崩れ去ってしまっては困るのだ。
そのため、立地環境は自ずと天災のリスクが低い場所が選ばれる。
実際、過去の大地震で“奇跡的”に助かっている神社やお寺は多い。

2.古代遺跡が近くにあるかどうか
縄文時代の遺跡があるような、1万年以上前から人が住んだ場所は比較的地震や水害に強いとみられる。
生活拠点の選び方は当時の人々の経験則によるところが大きい。同時に自然界から学ぶ部分も大きかったと考えられる。人間の生活が自然と密接に関わっていた時代、彼らが住みやすい場所は狩猟がしやすい場所でもあった。つまり、そこは動物たちにも住みやすい環境だったということ。概して動物は天災リスクに敏感であり、彼らと近い環境で生きることは、地震や水害を遠ざけることにもつながっていたと考えられる。
なお、文化財包蔵地に含まれる場所で新築する場合、着工前に試掘調査を義務付けられることがある。不動産購入時に必ず確認しよう。

3.古地図を見る
数世代前の古地図で土地の履歴を調べることでも地盤の様子がわかる。
例えば、かつて水田や河川、海だった地域は、強度に一定のリスクがある。
今昔マップon the web』という古地図サイトが使いやすいので見てみよう。
ここでは今と昔の地図を同時スクロールで見比べながら、調べたい場所の昔の地形、用途をたちどころに知ることができる。
地図の種類は豊富で、時代別の古地図だけでなく、空中写真、陰影起伏図、活断層図など多岐にわたる。地図好きの人にはたまらない充実ぶりだ。

4.地名を見る
土地の地盤を推し量るのにいちばんオーソドックスで有名な方法かもしれない。
地名に
・沼、池、河など水にまつわる文字
・竜、蛇など鉄砲水や土石流を表す文字
・崩、梅(=埋まる)、柿(=欠き、崖)など災害関連の文字
が入っている場所は、低湿地帯や水災地だった可能性がある。
宅地開発で新しい地名に変わっている町も多い。
上で示した古地図サイトを見れば、昔の地名もわかる。大いに活用したい。

これ以外にも、地元の人に尋ねる、図書館で地誌を調べる、柱状図マップを見るなどの方法がある。
気になるときの参考知識として頭の片隅に入れておきたい。

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