すっかり身近な話題となった空き家対策。
幸いにも直して使える建物がある一方、老朽化が著しく取り壊すしかない建物もある。
ここで注意したいのが新築時と同様、建物の取壊し時にも登記が必要ということ。
滅失登記」といわれるものだ。
今回は滅失登記の流れを解説する。手順を確認すれば案外簡単な作業だ。

申請に最低限必要な書類は以下の2点。

①登記申請書
②建物滅失証明書

これら2点のセットを、取壊し建物の所在地を管轄する法務局に提出することになる。
①のフォーマットは法務局のホームページからダウンロードできる。
下記のように記載例をまとめてみた。

上記の登記申請書のうち、登記の目的、申請人などの基本的事項はもちろん記載必須。
合わせて押さえておきたいのが、黄色くマークアップした2つの数字。
取壊し工事請負会社の会社法人等番号と、取り壊した建物の登記簿謄本にある不動産番号だ。
会社法人等番号を記載すれば、下記の書類2点が提出不要になる。

③取壊し工事請負会社の商業登記簿謄本
④取壊し工事請負会社代表者の印鑑証明書

請負会社にとってもメリット大なので、番号を問い合わせて書くようにしよう。

不動産番号は、取壊し建物の登記簿謄本に書かれている。最上段右上、13桁の数字だ。
この番号があれば、建物の所在、家屋番号、種類、構造、床面積の記述を省略できる。
登記識別情報(権利証)や謄本が手元にあれば、それらを見て確認する。
もし何も手がかりがなければ法務局へ問い合わせよう。オンラインで取り寄せることもできるが、数少ない機会のために利用者登録するのは大変だし、登録しても地番がわからなければ使いようがない。
建物の詳細が不明なため自身で登記申請できない場合は、土地家屋調査士に依頼するのが近道だ。

なお、申請人(=建物の登記名義人)の住所が現住所と異なる場合は下記⑤のいずれかが必要になる。

⑤-1.住民票の写し(申請人の現住所および登記上の住所と同じ住所が記載されているもの)
⑤-2.戸籍の附票の写し(申請人の現住所および登記上の住所と同じ住所が記載されているもの)

これによって住所の異動履歴を明らかにし、申請人が登記名義人と同一人物だということを証明する。
もし登記名義人が亡くなっている場合は、その人の戸籍、さらに申請人となる相続人の戸籍を取り寄せる。申請人が登記名義人の相続人であることを示すためだ。

登記申請書末尾の「登記原因及びその日付」には、②の建物滅失証明書にある「●年●月●日取壊し」のフレーズをそのまま書けばよい。②は工事請負会社が作成してくれる。作成例は下記のとおりだ。

以上①②(場合によっては③~⑤のいずれかを追加)を法務局に提出すればOK。
郵送の場合は書留郵便(簡易書留、赤のレターパック含む)を選び、封筒の表面に「滅失登記申請書在中」と記載しよう。もし、登記完了証の返送を希望するなら、これまた書留郵便用の封筒、切手を加えて提出する。

一部のサイトでは建物の謄本、建物図面、公図などが必要と書かれているが、これらは提出不要。
自身で保管しておいて問題ない。
また、未登記建物を取り壊した場合は滅失登記も要らない。

最後に大事なこと。
滅失登記の申請は建物取壊しから1か月以内にしなくてはならない。
建物を取り壊したあと滅失登記をしないでいると、10万円以下の過料に処されることも。
また、固定資産税も支払いつづけることになるのでご注意を。
よろしければ参考にしてみてください。

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