移住や二地域居住で場所を選ぶときの基準に、近隣の環境がある。
人里離れた「ポツン」か、ある程度家が多い場所で「ストン」か。レギュラーのテレビ番組で、山奥などにポツンと暮らす人の生活が取り上げられ、そうしたスタイルに憧れる人もいることだろう。
ただ「ポツン」も「ストン」もそれぞれ一長一短ある。今回はこれらのポイントを見ていこう。

まず「ポツン」の方から。
せっかく田舎に来るのなら、わずらわしい人間関係から解放されて、気ままにのんびり暮らしたい。そんな発想に至るのはごく普通の流れだ。
大音量で音楽を聴いても誰から文句を言われるわけではない。ワンちゃんが多少吠えても気に病む必要がない。
また創作活動に没頭するなら、人気のない静謐な環境は大きなアドバンテージとなりうる。

その一方で弱点を抱えることも事実だ。最も注意が必要なのは、自然災害発生時の救出のスピードだ。
行政の初動は、どうしても人家の多いエリアや公道沿いに集まりがち。ポツンと立っている家は、除雪などで後回しにされることが多く、下手すると忘れられてしまう可能性もある。
とすれば、自身で何とかするしかない。自由が謳歌できると同時に、臨機応変さや生命力もまた求められるのだ。
また、家が少ない地域は、えてしてライフラインが整っていない。そもそも居住に適していない場所だから人家が集まっていないという考え方もある。

その点、管理別荘地では、毎月納める管理費のおかげで除雪車が迅速に対応してくれる。
また、近隣に家々が多い、隣家が近いということは、常に人の目に守られているということでもある。防犯上のメリットは小さくない。
地域のお得な情報、例えばこんど薪ストーブの薪がどこで分けてもらえるとか、そんなご近所ネタを仕入れやすいのも「ストン」住まいの強みだ。

ただ、厄介な住民が一定数いることも事実。
こんな素敵な物件をなぜ売るんだろう、と思ったときは少し注意した方がいい。隣人トラブルが売却の原因かもしれないからだ。
そういう場合は、売主さんのプライバシーに配慮しながら隣人を訪ね
「こんど“この近くに”引っ越してくる予定です。住み心地はどうですか?」
と物件を特定できない形できいてみるとよい。
感じのいい人なら当たりだし、偏屈な人ならそれこそ「ビンゴ」だ。
なかには、隣が売りに出ていることを知っていて、
「できれば来てほしくない」
という気持ちを遠回しに(あるいは露骨に)表現する人もいる。そういう環境では近所づきあいに苦労するので、見送るのが正解だろう。

ポツンとストン。いずれにしてもメリットとデメリットがあるので、物件探しのポジショニングに囚われすぎず、不安要素を丁寧につぶすことが大切だ。

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