5月11日はご当地スーパーの日。
5(ゴ)+10(トオ)+1(チ)からきている。
移住地探しで町巡りをしていて、ついつい寄ってしまうのが道の駅とご当地スーパー。
地元でしか売っていない食品に出合うと心がおどり、自然と財布のひもがゆるむというものだ。

例えば長野県なら「デリシア」「ツルヤ」などといった地元のスーパーチェーンがある。
デリシアは松本市本拠の交通系企業アルピコグループが運営し、ツルヤは小諸市で明治25年創業の個人商店までさかのぼり、当時は海産肥料を扱っていたのだそう。

どちらも県内を車で走っていると当たり前のように見かけるお店だが、じっくり店内をまわると細かな違いに気付く。

まずはデリシアから。
店内に入り、すぐ目に留まるのが、地元産品のコーナーだ。
「百笑家」と銘打ったこちらの売り場では、シイタケ、ブナシメジ、紫花豆、かぼちゃなど、近隣農家さんの手による野菜が彩り豊かに並べられている。県を代表するリンゴもおいしそうだ。
軽井沢でEM農法を行う田七屋さんの農産物もある。
信州産の青果類を身近に感じられるのがうれしい。

豆腐売り場に行くと「みまきとうふ」といういかにも地元らしい名前の豆腐がある。東御市産の材料にこだわって生産する農事組合法人の一品だ。
みまき、といえば御牧ヶ原。ここはかつて天皇に献上する名馬を育てていた肥沃な台地で、現在では浅間山、蓼科山などの名山を望む人気の移住先となっている。売り場を歩きながらそんなことも思い出され、頭の中でプチ旅行。
長野県知事賞を受賞したちゃたまやさん自慢の赤卵「浅間小町」も見つけた。
また「コストコ」コーナーが特設されているのもおもしろい。

こうしてみると、デリシアは地元産品、特に地域でイノベーションに取り組む農家さんを強く推している印象を受ける。
日常的に新鮮な地元食材を楽しむにはぴったりのスーパーだ。

対してツルヤはどうだろう。
こちらは地元産品を集めたコーナーこそないが、契約農場産の原種エノキ、東北の鳥海なめこなどが見られ、各売り場の品目数が充実。

また、ツルヤの特色といえば「ツルヤプレミアム」「ツルヤオリジナルジャム」などの自社ブランドだ。
プレミアムの方は、ぜいたくしぼりジュース、ワイン屋さんのぶどうジュースなど、濃厚ジュースのカラフルな陳列が視覚に訴えてくる。
ツルヤオリジナルジャムの品ぞろえは圧巻。
壁面芸術を見ているようで、まず「鑑賞」から入ってしまう。

こちらでもちゃたまやさんの茶たまごを見つけた。
また、グリーンマークの無添加ベーコン、海外産の純粋ハチミツなど、食生活の意識高めな人たちを狙った品々がちらほら。見つけるのに苦労する無漂白の茶色いキッチンタオルが置かれていて驚いた。
なお、細かいことだが、ツルヤでは生鮮食品の値札が商品の上段に付いている。レアな価格表示で買い間違いしないよう要注意。

まとめると、ツルヤは自社ブランドでの地元産品開発に力を入れ、品揃えには「ちょっといいもの」を取り入れる努力が見られる。
都市部で少しこだわりをもって買い物していた人たちには心強い存在かもしれない。

以上のルポは2022年12月に
・デリシア小諸インター店
・ツルヤ小諸店
で見た内容をまとめたもの。
季節や店舗によっては、また違う景色が見られるだろう。

ご当地スーパーは、地域の食事情を楽しく学べる格好の教材だ。
また、お気に入りのお店が見つかれば、それによって住む場所を絞り込むこともできる。
移住先探しの際はぜひとも訪れたい。
なお、くれぐれもお買い物をお忘れなく。

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