梅雨の季節がやってきました。
洗濯物の乾きが悪く、生活は日々湿気との戦い。
想像するとついため息が出てしまいますね。

湿度やカビを抑えた快適な暮らしのため、新築やリフォームを考えている人には知っておくとよいことがあります。
建材の選び方です。
今回は古来日本で壁材に使われてきた漆喰についてお話します。

ひなたで美しい光沢を放ち、室内では高級感と落ち着きを感じさせる漆喰。
蔵を使ったカフェやギャラリーで見かけることはあっても、住まいの建材としては少し敷居が高い存在。
でも、漆喰の有能ぶりには目を見張らずにいられません。

そもそも漆喰の原料は、石灰石や貝殻。
焼いた石灰や貝殻に水を加えて粉状の消石灰(水酸化カルシウム)にし、麻すさや海藻の煮汁を混ぜて練ったもの。
練るときは想像を超えた粘り強さが感じられます。これだけでも建材としての強さを期待してしまいます。
漆喰にはこんなメリットがあります。

1.耐久性がある
寺社やお城など多くの文化財に使われてきただけのことがあり、耐久性に優れます。
漆喰は空気中の二酸化炭素を吸収し、だんだん硬化するという過程をたどります。
壁に塗られて建物の一部となった漆喰は、石灰石に戻ったものです。
うまく手入れすれば、建てたあと数十年にわたって使うことができます。

2.抗菌性がある
漆喰はカビや細菌の繁殖を抑えてくれます。
原料の消石灰はpHが極めて高く、何とpH12.4。すなわちこれは抗菌性が高いということ。
コロナウイルスが蔓延したとき、アルカリ電解水がよく使われましたね。その固体版です。
また、新建材から出る化学物質、ホルムアルデヒドを分解してくれる力もあります。アレルギー体質やシックハウス症候群の人にとって、強い味方になってくれますよ。

3.調湿効果がある
漆喰の表面には細かい穴がたくさん開いています。
その穴から、ジメジメした暑い時期には室内の湿気を吸収し、空気の乾燥した寒い時期には湿気を発散してくれるのです。まさに呼吸する家ですね。
家の中だけでなく、もちろん外壁もそうです。雨に濡れても日が当たれば、自然と水分が放出されていきます。

4.消臭効果がある
漆喰の表面に開いている無数の細かな穴は、消臭にも力を発揮してくれます。
材質が強アルカリ性なので、穴から酸性の臭いを吸収し、中和してくれるのです。
人間やペットの体臭、生ごみや水廻りなどの臭いに効果があります。

5.不燃性がある
防火対策にも効果があります。
建築基準法で定められた防火材料には不燃材料、準不燃材料、難燃材料という3つの種類があります。漆喰はコンクリートやガラスなどと並び、最も防火性に優れた不燃材料のひとつです。
ビニールクロスは燃えたときに有害化学物質を出してしまいますが、そうした弊害とも無縁です。

昔からある建材ですが、こんなに強みがあるなんて驚きですね。
自然素材の奥深さを感じますね。
次回は漆喰の手入れについて紹介します。

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