前回の続きで、遺言書をテーマに取り上げる。
今回は「公正証書遺言」「秘密証書遺言」についておさらいしよう。

公正証書遺言とは、法律の専門家である公証人の協力を得ながら作成する遺言書。遺言者の真意を正確にまとめることができるので、形式面の不備が起こりえない。この点が最大のメリットだ。
作成後は公証役場に保管される。改ざんや紛失のおそれもない。

作成にあたっては証人2名が必要。証人となれる資格があるのは下記3種類の人たちだ。
①信頼できる知人
②弁護士、司法書士などの専門家
③公証役場で紹介してもらう
推定相続人は証人になることはできない。相続人間の公正中立な関係を担保するためだ。

ここまで読んで想像がつくかもしれないが、自筆証書遺言と比較したときのデメリットがその費用だ。
公証人への費用は、財産の価格によって異なる。

目的の価額手数料
50万円以下3000円
50万円を超え100万円以下5000円
100万円を超え200万円以下7000円
200万円を超え500万円以下13000円
500万円を超え1000万円以下20000円
1000万円を超え3000万円以下26000円
3000万円を超え5000万円以下33000円
5000万円を超え1億円以下49000円
1億円を超え3億円以下4万9000円に超過額5000万円までごとに1万5000円を加算した額
3億円を超え10億円以下10万9000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
10億円を超える場合29万1000円に超過額5000万円までごとに9000円を加算した額

証人に対しても費用が要る。知人に依頼するときは5000円~1万円、弁護士や司法書士には数万円~30万円(作成費用含む)、公証役場の紹介者へは数千円~1万円程度が相場とされている。いずれも1名あたりの費用だ。
また、自筆証書遺言は完全に秘密裏で作ることができるが、公正証書遺言は自分以外の誰かがその内容を知ることになる。

それでも、
・自分で文字が書けなくなった人
・作成不備によるトラブルを避けたい人
・書き直しをしたくない人
にとってはありがたいシステム。以下に作成の手順を見ていこう。

1.公証役場に連絡して作成を依頼する
基本的には自宅近くの公証役場に連絡して依頼する。可能であれば遺言者自身がメモ程度でも遺言書の骨子を作っておく。

2.公証人と面談して案文をつくる
公証人が遺言者の希望を聞きながら案文を作成する。遺言者が直接文章を書く必要はなく、口述でOK。遺言者が入院中の病床で面談することもできる。

3.証人を選び、遺言書作成日を決める
公証人と相談して誰を証人にするかを決める。また、証人が決まったら遺言書作成日も合わせて決定する。遺言書作成日には証人にも立ち会ってもらわなくてはならない。

4.遺言書を作成する
遺言者、公証人、証人2名の計4名が公証役場に集い、遺言書を作成する。公証役場に出向くことができなければ、入院中の病院などに公証人と証人を呼び寄せる。
まずは、公証人が遺言書案文を読み上げ、遺言者、証人がその内容に誤りや不備がないか確認する。問題なければ、そのまま本通作成に移り、遺言者、証人が署名押印を行う。これで遺言書が完成する。
なお、遺言者の印鑑には実印を使用し、印鑑証明書も準備する。証人の印鑑は認印でも構わない。

5.遺言書が公証役場で保管される
遺言書の原本は公証役場で保管することになる。遺言者には原本の写しが正本として交付される。この正本は原本と同じ効力をもつ。
また、原本の正当性を証明する書類として謄本も発行される。正本と合わせて厳重に管理しよう。

なお、証人には注意しておきたいリスクがある。
遺言書の効力を争う訴訟が関係者の誰かから提起された場合、証人が裁判所に出頭を求められる可能性があり、最悪の場合は損害賠償を負うこともある。
遺言書作成に伴う署名押印に際しては、十分内容を確認しておきたい。

なお、秘密証書遺言とは、誰にもその内容を知られることなく遺言書を作成し、その存在のみは証人2名以上に知ってもらうという遺言方式だ。
自筆、パソコンのいずれでも作成可。自署押印のうえで遺言書を封筒に封入し、書面と同じ印鑑で封印する。
公証人手数料は一律11,000円。証人には1名あたり5000円~1万円の謝礼を支払う。総額数万円必要となるが、遺言者死亡時に裁判所の検認が必要であり、何より遺言者が秘密で作成するため内容無効のリスクが伴う。
費用が高いわりには遺言書の無効リスクがあるため、ほとんど使われることがない。
知識として知っておいて損はないので、参考リンクを下記に貼っておく。

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