不動産を購入しようとするとき、最初に「ある書面」が必要となる。
その書面とは「購入申込書」もしくは「買付証明書」などといわれるもの。
売買契約に向けて売主との話し合いや手続きを進めたいので、他の顧客に優先して交渉権を与えてください、という趣旨で買主から売主に提出する書類だ。
一般的に書類には次のような内容が記載される。
・申込日(記入日)
・宛先となる売主の氏名
・買主の住所、氏名、認印
・対象物件の住居表示、登記上の地番、面積など
・売買代金
・契約予定日と手付金の金額
・決済予定日と残代金の金額
・特約条項
これらの要素を買主が希望として伝え、売主が交渉のテーブルに着くかどうかを決めるのだ。
下記は記入例のひとつ。

なかでも重要なのが
・売買代金
・決済予定日
・特約条項

だ。

1.売買代金
本来は物件の表示価格が入る。
とはいえ、買主としては安く買えるに越したことはないし、できれば値切りたい。
ただし表示価格がある以上、大きく外れた値段を押し付けるわけにもいかない。
通常、値引き希望の限度は表示価格の10%程度とされているが、売主がNOを出せば商談は終了する。
物件選定の段階でマネープランを考慮し、無理のない範囲で絞り込むことが必要だ。

2.決済予定日
残代金の支払い日、つまり所有権移転の希望日を必ず記入すること。
日にちが明確でなければ、○月上旬のような書き方でもいい。
売主としては期限が見えないと不安になるし、あまりに先だとお断りになるケースも。
概ね申し込みから約30~45日後、銀行融資を受ける際は約40~60日後、売主の確定測量などがあるときは4~5か月先で書くことが多い。
ある程度余裕をもちつつも、遅くしすぎないことが大事。

3.特約条項
購入に関する希望条件、特別な申し入れ内容を記入する。売買代金と並んで最重要事項。
融資利用の有無、測量や境界確定希望の有無、古い建物が立っているときは取り壊し希望の有無などを書く。
すでにわかっている場合は設備の撤去希望、リフォーム希望箇所を書くこともある。
売買代金の欄には表示価格を記入しておき、この条件欄で値引き希望金額を明示する場合も。売主への当たりを柔らかくする配慮だ。

気になるのが他の顧客との順位の優劣。
住居用不動産の場合は申込のタイミング順で優先順位を決めることが多い。
一方、投資用不動産の場合は、申込者のなかで最も早く資金を準備できた人が優先権を得ることが多い。
ただし住居系でも同時期に申込が重なったときは、売主にとって好条件の買主が選ばれることもある。
また、融資審査がずるずる延びれば売主から拒否されかねないので注意が必要だ。

なお、あの日不動産では、商談をスムーズに進めるための書き方、無理のないスケジュール設定を一緒に考えていきますのでご安心ください。

おすすめの記事