大きなお金が動く不動産の売買。
私たち不動産業者も、代金決済のときは間違いが起こらないよう細心の注意を払う。
作業をスムーズに進めるためには、適切な方法選びが必要だ。
代金決済には主に3種類の方法がある。

①現金決済
②振込
③小切手決済

どの方法にも一長一短がある。
ただしいずれを選んでも外してはいけない鉄則が「同時履行」だ。
買主の決済代金と売主の登記識別情報(権利証)は同時に授受される必要がある。
そうでなければ両者のどちらかが不安定な立場に立たされてしまう。
その点を踏まえつつそれぞれの内容を見てみよう。

まずは現金決済
この方法の強みは現物のお金を目の前にして取引をするため、代金授受に間違いが起こりにくいことだ。
ただ、大金を持ち運ぶには安全上のリスクが付いてまわる。
そのため多くの場合、決済場所は金融機関の応接室が選ばれ、お金の物理的な移動距離を最小限に抑えることになる。
しっかり帯封された紙幣は、基本的に数量の間違いが起こりえない。
端数の枚数のみ数えれば事足りる。
金額確認後、代金と権利証を交換することでシンプルに取引が終わる。
また、もろもろの手数料支払いもその場で完結することができる。
作業スピードもメリットのひとつといえるだろう。

振込は資金移動を簡単にできることが最大のメリット。
多額のお金をドキドキしながら持ち運ぶ必要がない。
一方、同時履行を満たすための手間はかかる。
振込の完了が物理的に見えないからだ。
通帳記入もしくはネット上での口座確認などを行い、初めて着金が確認できる。
振込から着金までの時間は、ネット回線の状況、システムどうしの相性に左右される。
そのため数分で完了することもあれば、1時間ほどかかるケースもある。
時間が読めないため、余裕をもって決済作業に入ることがポイント。
なるべく午前中から始めるのが理想だ。
くれぐれも着金確認しないまま権利証を交付しないこと。まれに振込間違いも起こりうるからだ。
時間がかかっても、指定の口座に着金したか必ず確認しよう。

小切手決済は①と②のいいとこどりといえる。
多額の現金を1枚の小切手に集約させることで、持ち運びが簡単になる。
権利証との交換もシンプルに済む。
ただし、現金化には数日かかる。
ある都市銀行を例にとると、銀行に持参した日の翌々日(土曜日曜祝日を除く)の午後1時以降から利用、引き出しが可能となる。
小切手は通常線引小切手といって、券面表右上または左上に二重線の引かれたものが使われる。
これは誤って落としたとき、第三者が勝手に換金するのを防ぐためだ。
金融機関へ小切手を持参する際は通帳を忘れずに。もともと通帳がない場合はキャッシュカードと身分証明書が必要。
決済後すぐにお金を使う必要がなければ検討したい方法だ。

それぞれの方法に便利な点と注意点がある。
状況に応じてうまく活用しよう。

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