もうすぐ夏の連休シーズン。3年ぶりに行動制限のないお盆を迎えることになる。
そんなわけで今回のテーマは帰省。
帰省は家族に会えるだけではなく、実家の建物や土地を確認する意味でも貴重なチャンス。
実家での滞在中にやっておきたいことをいくつか紹介しよう。

1.各種機器類の使い方をチェックしておく
実家を離れてしばらく経つと、結構細かい部分が変化しているものだ。
キッチン、浴室、トイレなどの水廻り、来客用のカメラ付きインターホン、エアコンなど、使用に戸惑う最新機器にバージョンアップされていたりする。
そんなとき、片っ端から試しに使ってみよう。
理由は簡単。万が一の話だが、ここが空き家となって人手に渡る事態になるとする。その際、買主に使い方を説明する必要があるからだ。
「説明書やマニュアルを見てもらえばいいじゃないか」
という意見もあるだろう。しかし内覧の際、売主や不動産業者がその場で実演しながら使い方を説明できると、買主に安心感を与え、印象は爆上がりだ。
ひと通りの基本的な使い方をマスターしておくことを、強くおすすめする。

2.破損箇所を確認しておく
建築時から長い間経つと、当然のことながらさまざまな箇所にガタがくる。
ふすまや障子、床のフローリングや畳、階段、建具など、その範囲は多岐にわたる。
これらも見える範囲でチェックしておこう。
中古住宅を譲り渡す際は、いわゆる「現況引渡し」が多い。次のオーナーさんに自分の好みでリフォームしてもらうためだ。
とはいえ、売主は建物の故障や汚れについて何も知らなくていいわけではない。
買主に渡す書類のひとつに「物件状況等報告書」というものがある。これは、売主が土地建物について知っている事情を、遺漏なくありのまま伝えるための報告書。作成者は売主。その内容と物件の現状が一致していることを確認して、買主はハンコを押すのだ。
もしものときあわてずに済むよう、主だった破損箇所は把握しておこう。

3.権利証の所在を知っておく
土地建物の売買で必須の書類が登記識別情報、いわゆる権利証だ。
基本的に売却時しか使わない書類なので、聞きづらいとは思うが、できれば保管場所を確認しておきたい。
万一実家が空き家になってしまうと、膨大な家財、荷物の中からこれを探し出すのは至難の業だ(ちなみにサイズはほぼA4判)。このほか、
 ・建築時の設計図
 ・リフォーム時、増改築時の図面
 ・各種機器説明書
の所在も押さえておきたい。
「○○の中に入っているよ」
と親族から口頭で伝えられるかもしれない。でもそれは勘違いや思い込みの危険をはらんでいるので、できれば実際にその場所を開けて確認しておこう。
気が引けるかもしれないが、親族と会話ができるうちに確認しておいた方がいい。

4.ハザードマップを見ておく
最近国内はもとより世界的規模で異常気象が見られ、土砂災害、浸水被害が頻発している。
自身が購入する物件周辺のハザードマップは見ていても、実家周辺のマップは案外見ていないものだ。
実家は自然災害が想定される区域に入っているのか、いないのか、もし入っていたら講じるべき措置があるのか、その措置に対して補助金が出るのか、などについて確認しておきたい。
ついでにいえば、こうした内容を役所で確認するため、帰省日には平日を含めた方がいい。
内覧時、被災の可能性や履歴を尋ねる買主は多い。
そのときに
「○○区域には入っていない」
「過去○○年は被災したことがない」
と自信をもって答えることができれば、格段に商談がスムーズに進む。
不動産業者も当然知っておくべき内容だが、売主本人の口から発せられると重みが違うのだ。

忙しいなか貴重な時間とお金をかけての長距離移動。
なるべく有効に使い、転ばぬ先の杖としたいものだ。

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