田舎暮らしを考えるにあたり、多くの人がぶち当たる壁が「仕事探し」だ。
リモートワーク、テレワークを認める企業が増え、ひところより場所を選ばずに仕事をする人たちも目立つようにはなった。
とはいえ、こうした例はまだまだ少数派。
一般的に、地方移住はすなわち転職を意味する。
会社勤め以外に何か道はないか。
今までの経験を生かして自営業はできないか。
その答えのひとつとして挙げられるのが「ペンション経営」や「ゲストハウス経営」だ。
英語で「pension」は「年金、恩給」などを意味する。
古くからペンション経営は、キャリアをリタイアして自活する方法として、いわば王道の一角を占めてきたといえる。
ただ、甘い仕事ではないし、消去法的に選んでいいわけでは決してない。
一方で魅力に富んだ仕事であることも事実だ。
まずはその素敵な点をいくつか紹介しよう。
1.さまざまな人に出会うことができる
長年営業職や販売職などにあって人間関係にもまれてきた人は、その苦労を体験しつつも、人と接することで喜んだり救われたりした場面を強く覚えているはずだ。
初めて会う人との交流をポジティブにとらえているなら、まずは選択肢のひとつに数えていい。
いったん経営に入ってしまうと遠出する機会は減るが、さまざまな人たちが入れ替わり立ち代わり来てくれることで、逆に自分が旅をしているように錯覚することも。
人生を旅になぞらえる人がいるが、この仕事はそれを地で行くものだといえる。
2.家族で一緒に携わることができる
昨今は都会でも職住近接を求める人が増え、コロナ禍を経て家族との時間を重要視する人がますます多くなってきた。
地方移住を志す人たちとなれば、なおさらその傾向が強まる。
そこへくるとペンション経営は家族で行うことができ、喜びも辛さも分かち合うことができる。
今までわからなかった親の素顔を見ることができたり、子どもの新たな特性を見出せたりして、家族が共に成長するという意味では希少な仕事だといえる。
3.仕事のON期間とOFF期間を作ることができる
観光シーズンのピークとオフピークがはっきり分かれている移住先であれば、おのずと仕事の繁忙期と閑散期も分かれる。
これは言い換えれば、まとめて休みがとれるということだ。
海外旅行好き、登山好き、あるいは何か技芸をもっている人であれば、その趣味に集中して時間を使うことができる。
欧米社会のバカンスとまではいかないにしても、1か月ほどの連続休暇をとることは夢ではないだろう。
また、個々の例でみれば、料理好きの人がスキルを活かしたり、農的生活を志向する人が施設経営と組み合わせて集いの場を作ったりとか、各人が生きがいを作り出す舞台として機能しうる。
コロナ禍への向き合い方が変わりつつある今、再び注目したい仕事だ。
不定期ながら、引き続きまたこのテーマを取り上げることにしよう。