地方で暮らすとき、案外大きな課題となるのが、ごみの処理。
都市部に住んでいると、ごみの廃棄は近所で済ませられると考えがち。
ところが、地域によってはそうはいかない。

例えば、ご近所どうしで使われるごみ集積所。
これは自治会に入って自治会費を納めていなければ使えない、というパターンが多い。
とはいえ、移住者の中には、自治会に入るのをためらう人もいる。
濃密な人間関係を避けたいとか、高い自治会費用を訝しがるなど、理由はさまざまだ。
新しく家がぽつぽつ立った町の一角では、そもそも自治会自体がないというケースもある。
ではこのような人々はどうしているのか。
車にごみを積んで役場敷地内のごみ集積場、あるいは特定のごみ処理場へ運ぶことになるのだ。
定住者でもこうなのだから、二地域居住、別荘住まいの人は言わずもがなだ。

では未来永劫、ごみ捨てのため遠距離を往復するしかないのかというとそうでもない。
ひとつだけ方法はある。
新しく集積所を作ってしまえばよいのだ。ただし以下の条件をクリアしなくてはならない。

①市町村が集積所の新設とそこでの回収を認めてくれること
②集積所用の土地を誰かが提供してくれること

①では自治体を説得する必要がある。先例がなければ、交渉に時間がかかるかもしれない。
そこは同じ思いの人どうしで知恵を絞り、行政の腰を上げさせるしかない。
自治体によって多少の差はあれ、前もって次のような書類を準備しておくとよいだろう。
・申請書
・事前協議書
 (設置場所の所在地、面積、集積ボックスのサイズ、使用開始時期、管理方法などを明記)
・理由書
 (集積所を必要とする地域の実情、要望をなるべく具体的に)
・地図
・具体的な位置を示した拡大図
・集積ボックスの見取り図
なるべくごみ収集車が通過しやすい場所を選ぶなど、一定の歩み寄りはしておきたい。

②も重要課題。誰かの土地を利用することになるので、その人に年いくらかで協力費を支払ったり、みんなが気持ちよく使えるための仕組み作りが必要だろう。
考えのしっかりしている人なら、自分の土地の一部をごみ集積所用として分筆し、自治体に寄付するかもしれない。理想論だが、いちばんスマートな方法だ。

高齢者が交通事故を引き起こしたり、巻き込まれたりする事件が報道されるたび、高齢ドライバーの免許返納が叫ばれる。
ところが、地方ではそう簡単に返納できないのも実情。
なるべく対処しやすい場面から車の利用機会を減らし、市民生活の安全を守っていくことが重要だ。
と、まとめてみたが、こうした内容も理由書に盛り込んでおくとよいだろう。

なお、この物件がある地区は、住民どうしが協力してごみ集積所を設置した好例。
こうした事情から隣人関係の円満さもうかがい知ることができる。
美術館巡りや新緑ウォッチングを兼ねて、ぜひ見学してみてください↓

おすすめの記事