土地売買で避けて通れないのが測量の問題。多くは売買契約締結後に売主負担で測量し、境界と面積を確定させて買主に引き渡す。ただし、時と場合によっては例外もあって……
Q:田舎で子どもを育てるのが夢です。ずっと土地を探していたところ、ようやく希望どおりの場所に出合いました。数週間前に土地の売買契約を結びましたが、融資審査に思いのほか時間がかかっています。このままでは建物の完成が子どもの入学時期に間に合わないかも、と心配しています。
土地の残代金決済までに測量もしなくてはなりません。測量には3~4か月かかると聞いています。この期間を短くして建物の完成を早められないでしょうか。ちなみに測量費用は売主さん負担です。
A:なかなか難しい問題ですね。土地の測量期間が3~4か月ということは、官民確定(隣地境界と公道面境界を確定する)まで行うということでしょうか。融資審査を受けているのであれば、結果が出るまで測量は始められませんね。なぜなら、万が一審査に落ちてしまうと、測量費が無駄になってしまうからです。売れない土地のために売主さんが測量費を負担するわけにはいきませんからね。とはいえ、お子さんの入学時期は一生に1回しかないのも事実。解決法をいくつか考えたので一緒に見ていきましょう。
1.買主負担で測量する
土地の測量費用を売主と買主のどちらが負担するかは、特に法律で決まっているわけではありません。
ただし、一般的には売主が負担します。売り物の内容、数量をはっきりさせる責任は売主にあるからです。
ところが今回のように、一刻も早く測量を始める必要があるなら、買主さんの費用負担で測量を行うのもひとつの方法です。もし、融資審査に落ちて土地が買えなくなり、測量費が無駄になっても、本人以外に迷惑がかからないからです。
この場合、
・測量費を買主負担とする。ただし、金融機関の融資承認が得られた場合は、当初の売買契約どおり売主が測量費を負担する。
・測量費の見積り金額は売主の同意を得て決定する。
・買主や測量関係者による土地への立入り、形質の変更を認める。ただし、測量目的に限る。
といった特約の覚書を交わしておくと安心です。
2.測量内容を変更する
ひと口に測量とは言っても、内容や期間はさまざまです。今回の3~4か月はどちらかというと長めの設定です。境界確認の相手に役所が含まれると往々にして日程が長くなります。
例えば、境界確認を隣地所有者(民間人)だけに絞ってみてはどうでしょうか。連絡先がはっきりし、うまく連携して境界の合意がとれれば、期間を短縮できる可能性が出てきます。
もし売買契約書で官民確定がうたわれているなら、
・境界の確定内容を官民確定から民民確定に変更する。
・官民確定を行わないことによる不利益につき、売主は一切の責任を負わない。
などの特約で覚書を交わしましょう。なお、民民確定とは公道を含まない隣地境界のみの確定を指します。
3.いったん賃貸物件に入居する
新居が完成するまでの間、いったん仮住まいに入るという解決方法です。費用はかかってしまいますが、お子さんは予定どおりの学校で新学期を迎えられます。そのためには、候補物件をうまく見つける必要があります。建物の広さだけでなく、短期間の賃貸借が可能かどうかも確認しましょう。
この方法であれば、もとの売買契約に影響が出ません。
なお、売買契約書での融資特約には期限があります。その期限が延長できるのか、早めに売主サイドへ確認しておきましょう。もし延長できないなら、代わりの土地や賃貸物件を探す必要が出てきます。