不動産売買で気を遣う場面のひとつが、家財の引継ぎ。
基本的に家財道具は動産であり、不動産に含まれないため売買対象にはならない。
そのため、通常建物内の家財一式は、物件引渡し時までに売主が責任をもって撤去することになる。
ただし、下記のような例外があるので注意しておきたい。

1.営業用物件の場合
ペンションやホテル、もしくは店舗物件の場合、ベッド、リネン、テーブルセット、食器類など、営業に必須の道具類が山ほどある。
その場所にあるからこそ生かされる物がほとんどであり、通常はそのまま残置される。そのため、売買代金は道具一式も含まれた値付けとなる。
一方、数ある道具のうち、売主側で特に思い入れや経済的価値を感じている品々が全くないとはいえない。撤去予定の物は、ぜひリスト化しておきたい。
よくあるのが、オーディオセット、テレビ、絵画、電灯のカサなど。
古民家ふうの宿であれば、茶箪笥や応接セットが骨董品という場合がある。
価値が高くなればなるほどトラブルになりやすいので、必ず記録に残しておこう。

2.個人的な要望がある場合
ほとんどの品々が撤去されるなか、買主の希望によっていくつかの物を残す場合がある。
注意しなくてはならないのが、カーテン、照明など建物と一体化していると錯覚しがちな物。残置だったか撤去だったか、お互い記憶があいまいになるケースも。これらは必ずリスト化しておきたい。
あと、通常残置される物の代表例はエアコンだが、逆に買主側から撤去を希望する例がまれにある。
エアコン撤去はお金と時間がかかる作業なので、これも要記録だ。

3.別荘の場合
別荘の家財道具は本宅で不要となるため、売主希望で残置するパターンが多い。
この場合は、逆に買主側でいらないものリストを作ることをおすすめする。
また、別荘には季節利用の道具類も多い。草刈り機、チェーンソーなどがその例だ。
これらは使い方がわからないとたちまち困ってしまう。
説明書も残してもらえるようお願いし、もしなければ引継ぎの際に共同でマニュアルを作っておこう。

このほか庭の石灯籠、庭石なども要注意だ。
これらは土地に付属している物と認識されるので、特段の事情がなければそのまま置いていくことになる。売主側で撤去する場合は必ず予告しよう。
逆に植木鉢は売主側で撤去するのが基本ルールだ。

最後に、リスト化のコツを少々。

  1. 撤去か残置のいずれかを基本線として「例外」用の付箋を作る。付箋には「残置」「撤去」と明記する。
  2. その付箋を物品に貼る。
  3. 貼った状態で写真に撮って記録する。
  4. Excelなどで「残置物」または「撤去物」を一覧表にし、チェックリスト化する。
  5. チェックリストと写真類を印刷し、売主買主双方で同じものを1通ずつ保管する。

ここまでやっておけば普通はもめない。
面倒に感じるかもしれないが、あとで楽な思いができるのでぜひおすすめする。

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