不動産広告の土地面積の表記で「公簿」「実測」という文字を見たことがないだろうか。
これらはいったいどう違うのか。
今回はそんなテーマでお話ししよう。

まず「公簿面積」。これは法務局に保管されている、いわゆる登記簿謄本に記載されている面積だ。
その根拠となる図面は、明治時代あるいは昭和20年代に測量された図面(いわゆる「公図」)から、不動産登記法による近年の「14条地図」に至るまでさまざま。精密度には差がある。
精密度のレベルは各図面の「精度区分」の欄を見ればわかる。
この欄に「甲」とか「乙」とか書いてある(斜線でスルーされている場合もあるが)。
最も信頼性の高い「甲」から順に、少しずつアバウト度が増していくと考えてよい。
しかし、実務で体感した限り、驚くような大外れはない。
日本の測量技術は明治時代から相当優れていたという印象だ。

公簿面積よりも実際の面積が極端に狭かった(つまり大損)パターンはあまり見かけない。
逆のパターンには時々出合う。
公簿面積では○○㎡だけど、実際見ると……2倍、いや3倍あるんじゃないか?(つまりお得)というパターン。
これは昔の所有者が少しでも税金を抑えるため、土地面積を少なく見積もったことの名残だ。
公簿面積よりも実際の方がずっと広い状態、これを「縄延び」という。

土地面積の数値に慎重を期すのは、新築する場合。
完成した建物が、法令の基準サイズを超える恐れがあるからだ。
そこで出てくるのが「実測面積」。
その名のとおり「実際に測る」から実測なのだ。
実測には大きく分けて「現況測量」と「確定測量」がある。
現況測量は、今ある境界標、塀、杭などのしるしをもとに「ここでしょ」と決めて行う測量。
これはこれで意義のある方法。現状見たまんまの正確な面積が導き出される。

もうひとつの「確定測量」というのは、隣地所有者の現地立会いのもと、「境界はここでいいですよね」と相互確認し、境界と面積を確定させるパターンだ。
ただこの測量方法は手間も時間もかかる。つまり出費が大きい。
お隣さんとの境界トラブルが発生しそうにない場所、もしくは建ぺい率や容積率の指定がない地域であれば、余計なコストになりかねない。
都会で1坪変わると○百万、○千万の違いだが、田舎だと数千円、数万円の違い。
測量がコストに見合うかどうかを、冷静に見極める必要があるのだ。
田舎では、中古住宅がすでに建っていて法令違反の恐れがなければ、公簿面積による取引で大方問題ないだろう。

おすすめの記事