不動産の売買スケジュールの中で、最も重要な日程がいわゆる決済引渡日だ。
通常の売買契約では買主が代金全額を支払い、売主が所有権移転登記を行うことが各々の義務とされている。
これらの支払いと登記をお互い同日に行うことで、売買が成立し、不動産の所有権は新オーナーに移転する。
その手続きを行う日こそが決済引渡日だ。

高額なお金と重要な権利がかかわる以上、普通はいったん決まった日程を変更することは、信義則上軽々に許されるものではない。
しかし、まれに売主買主がお互い合意のうえで、決済引渡日を変更することがある。
その大半は日程を遅らせるというもの。
例えば、買主が期日までに不動産購入資金を準備できず、一定の猶予さえあれば必ず支払いができる場合などだ。
ただ、ほぼ確実に支払いがされるとはいっても、売主側からすれば当然不安が残る。
こうしたときにお互い取り交わす書類がある。
期日延長合意書などといわれるものだ。
必ず書き込むべき要素は次のとおり。

1.原契約の要点
売主名、買主名、売買契約(手付金契約)の日付を明記する。

2.今の決済引渡日と変更後の決済引渡日
もちろん変更後の日程が最重要ポイント。手続きの場所が金融機関の場合、一般的に平日に絞られる。曜日も確認して設定したい。

3.変更に伴う権利義務が発生しないこと
基本的に日程変更が目的であり、それ以外の契約要素は変わらない。
そのため「期日延長を理由とするいかなる金銭の授受も発生しない」とうたうことが多い。
あとから”迷惑料”云々が浮上しないよう、確実に盛り込んでおきたい。

4.対象不動産の詳細
どこの不動産に対しての合意かを明記すること。
土地であれば所在地、地番。建物であれば家屋番号まで記しておこう。

5.売主買主の署名記名と捺印
計2通にお互いの署名捺印をし、上部余白に割印を押すことが多い。

特に法定の様式があるわけではない。
以上の要素を揃え、お互いにしこりが残らないよう作成しよう。
とはいえ、お互いが決めた決済引渡日に向け、確実にお互いの義務を果たすことが契約の基本。
まずはその点を見失わないよう、余裕をもって確実な決済引渡日を設定するよう心がけたい。

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