2025年4月から木造住宅の値段が上がるかもしれない。
法改正によって、これまで省略されていた建物の審査、書類提出が一斉に義務づけられるのだ。

床面積500㎡以下、高さ13m以下、軒高9m以下を満たす木造2階建て住宅の新築時、大規模修繕時に、これまでスルーできていた手続きが必須となる。それが下記の2点だ。

「建築確認・検査」「審査省略制度」の対象範囲が変わる

確認申請の際に構造・省エネ関連の図書の提出が必要となる

専門用語の羅列だけではあまりピンとこないかもしれない。しかし、建築業界では衝撃的なニュースとして受け止められた。

まず、建築確認と検査について。
これは従来行われていた都市計画区域内だけでなく、すべての地域で義務づけられる。また、これまでの新築時に加え、大規模な修繕工事や模様替えのときも必要となる。200㎡を超える平家住宅にも同じ義務が課される。

つまり、建築確認と検査を受ける木造住宅が
・規模(2階建て住宅、平家住宅)
・エリア(都市計画区域外)
・タイミング(大規模修繕、模様替え)
の3つのジャンルにわたって一気に増えるというわけだ。

これにより、確認申請時に構造関係図書、省エネ関係図書の提出が必要となる。
現在上記2種類の図書は、2階建て以下の一般的な木造住宅なら省略してかまわない(審査省略制度)。
ところが2025年4月以降、法改正が設計者の人手不足を直撃し、新たな書類作成に時間とコストが費やされ、最終的には建物の価格にはね返ってくる、と考えられる。
これが木造住宅の価格上昇がささやかれる所以だ。

そもそも、なぜこのような法改正が行われるのか。
理由は簡単、建築物省エネ法の改正だ。
2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%排出削減(2013年度比)の実現に向け、建築物のエネルギー消費性能基準への適合が、今後いっそう厳しく求められる。
なお、200㎡以下の平家住宅は引き続き審査省略制度の対象であり、都市計画区域外なら建築確認等も不要だ。

建築のコストや期間は増えるが、品質確保の観点からはプラスといえる今回の改正。
新築や大規模修繕を考えるとき、頭の片隅に入れておこう。

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