前回記事の続きで相続登記の話題。
遺産分割協議が終わったら、いよいよ次は登記申請。
書類を正確に作り、必要なものをもれなく揃えることが肝だ。
要所要所を確認しながら慎重に進めよう。

相続登記申請 STEP③ 申請用書類の作成と準備
まず必要なのは登記申請書。
登記申請書のフォーマットは法務局のホームページからダウンロードできるが、相続だけでいくつも種類があるので要注意。
今回は下記系図の例に従い「相続・遺産分割」を選択し、作成した。
登記申請書の書き方にはいくつかポイントがある。
系図下の記載例のように赤字でまとめてみた。

登記申請書が完成したら添付書類の確認。
下記の書類を一緒に提出しよう。
ア)被相続人の戸籍関係書類(出生から死亡までの戸除籍謄本)
イ)相続人の戸籍関係書類(被相続人死亡日以降の戸籍謄本)
ウ)遺産分割協議書
エ)遺産分割協議を行った相続人の印鑑証明書各1通(発行日の定めなし。登記申請人となる相続人は不要)
オ)土地建物を相続する相続人全員の住民票の写しでマイナンバー不記載のもの(申請書記載の住民票コードで代用可)

なお、被相続人の「登記上の住所」と「戸籍上の住所」が異なる場合は、不動産謄本と戸籍謄本にある被相続人が同一人物であることを証明するため、下記カ~クのいずれかが必要になる。
カ)住民票の写し(被相続人の本籍および登記上の住所と同じ住所が記載されているもの)
キ)住民票の除票の写し(被相続人の本籍および登記上の住所と同じ住所が記載されているもの)
ク)戸籍の附票の写し(戸籍の表示および登記上の住所と同じ住所が記載されているもの)

なお、上記ア~クの添付書類の原本還付請求ができる。方法は次のとおりだ。
①添付書類全ページのコピーをとり、左側でホチキス留めする。
②1ページめ余白に「原本に相違ありません」と記載する。
③②近くに申請人が署名(記名)押印。
④すべてのページ綴りめに申請人が割印

⑤原本と一緒に提出
原本還付の請求書を改めて作成する必要はない。

また、下記のような相続関係説明図を作成、提出すれば、上記ア、イはコピーなしで原本還付請求が可能だ。

ちなみに、図内の「(分割)」は、当人が遺産分割協議の結果、登記対象の不動産を相続しなかったことを意味する。

もうひとつ作業を楽にする方法がある。
相続手続きがいくつも発生する場合、度重なる戸籍関係書類の提出、原本還付はたいへんな手間だ。
その負担を減らす制度として「法定相続情報証明制度」というものがある。
必要に応じ、こちらも合わせて活用してみよう。

最後に費用。
この事例でいう登録免許税8万円は
・金額分の収入印紙
・現金を税務署等で納付した際の領収証書
のいずれかを登記申請書と合わせて提出する。
登記申請書に直接貼り付けるのはNG。
別の台紙(白紙)に貼り付けて登記申請書にホチキス留めし、綴りめに申請人の割印を行う。
収入印紙に割印をするのもNGなので要注意。

相続登記申請 STEP④ 書類の提出
登記申請書と添付書面が全部出来上がったら、不動産管轄の法務局に提出する。
提出の方法には
・書面を窓口に持参する
・郵送する
・法務省の「登記・供託オンライン申請システム」で作成してオンライン申請
の3つがある。
郵送の場合は書留郵便を選び、封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載しよう。

ざっと駆け足で盛りだくさんの内容だったが、遺産分割が伴う相続登記の方法は以上のとおりだ。
不安な場合は専門家に依頼するのもひとつの手。
よろしければ参考にしてみてください。

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