
今回は個人情報の話。
不動産売買契約に際しては、対象土地建物に関する複数の資料がやり取りされる。不動産の登記簿謄本もそのひとつだ。
謄本には不動産の所有者名、住所、購入時のローンの内容など個人にまつわる情報が掲載されている。果たしてこれは"いわゆる"個人情報にあたるのだろうか。
結論から言ってしまえば答えはノー。
登記簿謄本は法務局へ出向く、もしくはオンラインで取得するため会員登録を済ませるなどの方法で、誰でも取得することができる。
そのため、謄本記載の情報は個人情報保護法第5章第4節(開示、訂正及び利用停止)の適用範囲外とされているのだ。
これは不動産登記法第155条に明記されている。
また、登記簿上の情報は個人情報保護法第78条第1項第2号イの「法令の規定により又は慣行として開示請求者が知ることができ、又は知ることが予定されている情報」に当たると考えられ、開示請求があった場合に行政機関の長はこれを拒否できないともされる。
とはいえ、この情報をもとに個人の属性をさらに調べることもできるし、必要範囲外の使用は控えるべきだ。
もちろん、関係者以外の誰もが見ることができる状態であえて放置、公開するのはもってのほか。
なお、あの日不動産では取引関係者のなかでこうした情報を共有することがありますが、必要な範囲での使用にとどめ、みだりに公知の状態に置かれないよう最善の注意を払っています。ご安心ください。