中古住宅の売買に際し、物件資料に「建築計画概要書」という書類が含まれることがある。
複数ページにわたる文字の細かい書類で、初めて見る人にとっては最後まで読み通すのに少し骨が折れるものだ。
さてこの書類、いったいどんな意味があるのだろう。詳しく見てみよう。

建築計画概要書(以下、概要書)とは、簡潔にいえば「その建物が建築基準法やまちづくりの基準に沿って適切に計画され、施工される」ことを示す資料だ。通常、建築確認申請時に役所の建築許可担当へ提出される。
計画どおりに建物が完成し、完了検査を通過していれば、すなわち法的安全性のお墨付きを与える書類となる。
この書類は3つのパートに分かれる。

第一面 建築主等の概要
建物の建築主、設計者、工事施工者など建築に関わった人々の情報が示される。
建築現場に「建築計画のお知らせ」という白い看板が立っているが、おおむねその内容と重なる。
通常あまり話題に上がる部分ではない。ただ、建物の倒壊で周囲に被害をもたらすような不測の事態に備え、責任の所在を明らかにしておく意味がある。

第二面 建築物及びその敷地に関する事項
所在地番、建築上のルール、前面道路、敷地面積、延べ面積など、建築確認申請時の諸元データが列挙される。この書類の肝といっていい。
建ぺい率、容積率の上限を超えていないこと、接道や防火の基準を満たしていることなどがここで示される。
計画どおりに施工され、建築確認の完了検査が終わっていれば、謄本上の床面積と住宅部分の面積は一致するはずだ。

第三面 付近見取図、配置図
ここでは建物のサイズ、地図上の位置、敷地や道路との関係が図示されている。建物が適切に配置されているか、再建築時にセットバックの必要があるか、将来土地の実効面積が減ることがないかなどを知ることができる。
道路幅員、境界線から壁までの距離などが詳細に書かれているが、たいてい数字が細かすぎて読み取るのに苦労する。建築時の図面が残っていれば、同じ内容をより大きな数字で見ることができる。

これら3つの末尾に「建築基準法令による処分等の概要書」が付き、建築確認の内容がまとめられている。ここまでの4点でお墨付きのセットだ。
通常建築確認の作業は、中間検査、完了検査を経て終了となる。
完了検査まで進んでいれば、当初の計画通りに建設されたことが証明され、問題ない。ただ、なかには完了検査を受けていない建物もある。工事施工者のポカで完了検査が抜け落ちた、完成直前で計画を変更して完了検査を受けなかったなどの事情が考えられる。ただ、一般的には、完成後の床面積や階数が増えたりしていないかぎり、特に支障はない。

売主の立場で見たとき、手元に「建築確認通知書」「検査済証」が残っていれば、概要書は必要ない。建築確認通知書も検査済証も見つからないとき、概要書の出番となる。
概要書は、建物の所在地番(住居表示ではないことに注意)、建築主がわかれば、誰でも役所の建築担当窓口で取ることができる。
ただし、概要書は自治体によって保存期間が異なり、30数年前に建てられた建物については存在しない可能性がある。
そんなときに代わりとなるのが「台帳記載事項証明書」だ。ここには建築物の概要、検査済証番号やその日付など、新築時の要点がまとめられている。
上記のいずれかは、不動産業者の力を借りつつできるだけ揃えておきたい。物件の信頼性が高まるからだ。

なお、あの日不動産では上記書類のいずれかを揃え、契約書類に添付しますのでご安心ください。

おすすめの記事