
今回のテーマは角地の評価額です。
交差点に面する角地の土地は、その他の土地よりも評価額が高くなるといわれます。
具体的にその計算方法をみてみましょう。
一般的に土地の評価で使われるのが、いわゆる相続税路線価です。
この路線価はいくつかのホームページで誰でも簡単に見ることができます。2つ挙げましたが、使い勝手は「全国地価マップ」の方が上です。
●国税庁 路線価図 https://www.rosenka.nta.go.jp/index.htm
●全国地価マップ https://www.chikamap.jp/chikamap/Portal
例えば下のような土地があるとします。
場所は普通の住宅地、南側の道路が1㎡あたり25万円、東側の道路が1㎡あたり24万円です。
何となく高いほうの金額をそのまま平米数にかけたくなるかもしれません。
残念ながらそうではなく、ある一覧表を頼りにちょっとした計算をします。

土地の評価は、立地の社会的条件、自然的条件などによって決まりますが、形状もその要素のひとつです。つまり使いやすい形かどうかがポイントになるわけです。奥に長すぎる、もしくは奥行が短すぎると少し使いづらいですよね。
奥行の長さが一般的な使いやすさに合っている土地は評価が高く、そうでない土地はやや減点されてしまいます。その感覚を係数化して一覧表にしたのがこちらです。
奥行価格補正率表といいます↓
●国税庁 奥行価格補正率表
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

普通住宅地区の欄を見ると奥行が10mから23mくらいの土地は標準的。
それより奥行が長かったり、短かったりすると、係数が低くなります。
この係数は土地の奥行に合わせて評価を補正するのが目的なので、もちろん角地以外の土地にも使えます。
南側から見た奥行は7m、東側から見た奥行は12mです。
この奥行価格補正率を使い、それぞれの路線価を調整します。
相続税路線価×奥行価格補正率=調整後の路線価
南側 25万円×0.95=23万7500円
東側 24万円×1.00=24万円
こうして計算すると、東側の路線価のほうが高くなりました。
高いほうの東側の路線価を正面路線価、安いほうの南側を側方路線価といいます。

今度こそ正面路線価を土地面積にかけて終わりたくなるかもしれません。
いえ、ここからが本番です。
角地の評価にはボーナスポイントが加わります。
その査定表がこちらです。側方路線影響加算率表といいます。
なお、加算率表にある準角地とはこのような形状の土地を指します↓
●国税庁 側方路線影響加算率表(上から2つめの表)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/hyoka_new/02/07.htm

この加算率は側方路線価にかけます。
今回の土地は住宅地にあり、南側が側方路線なので、ボーナスポイントはこのように計算します。
側方路線価×加算率=加算額
23万7500円×0.03=7125円
ここで出てきた7125円を正面路線価に足して計算します。
(正面路線価+加算額)×土地面積(㎡)=評価額
(24万円+7125円)×84㎡
=24万7125円×84㎡
=2075万8500円
こうして最終的な評価額が2075万8500円とわかりました。
なお、2本の道路に接していても、
●一方の道路との高低差がありすぎて出入りできない。
●道路の交わる角度、もしくは道路屈曲部の角度が150度を超える。
などの場合は、角地と判定されません。
この角度のルールも地域差があるので、注意が必要です(東京都は120度未満を角地とする)。
角地の土地を売りに出したいとき、この話を思い出してくださいね。