今回は困った隣地のお話だ。
お隣は長い間無人のお宅。誰が管理している様子もなく、屋敷全体がだんだん不気味な様相を呈してきている。
そんな隣地からニョキニョキ立木の枝が飛び出してきて、洗濯物を干すのもひと苦労。
羽毛のような種がふわふわ飛んできて、枝だって今にもうちの窓ガラスに当たりそう。
こんなとき、あなたはどうするだろう。
この対応策は、2021年の民法改正でガラッと変わることになる。

改正民法が施行される2023年4月1日以降、結論からいうと、隣地との境界線を越えて自分の土地にはみ出ている部分は、豪快にバッサリ切ってしまってOK。
ただし、上記のように何か具体的な被害があったり、または明らかに被害が及びそうな状況であることが必要だ。
せっかちな人だと、
「どうせすぐまた伸びてくるから、枝の根元から切っちゃえ」
とばかり、隣地の上空にハサミを伸ばして元から切ってしまいそうだが、これはNG。勝手に切っていいのは、あくまで自分の土地へ越境してきた部分だけだ。

もし隣に人が住んでいる場合はどうだろう。このときは、ある程度の時間の猶予をあげて
「切ってください」
とお願いしなくてはならない。それでも隣人が対応してくれなければ、自力で切ってもOKだ。
逆にいうと、何か差し迫った事情がない限り、いったんはお隣にひと声かけることが必要で、勝手に切ると不法行為責任を負う(慰謝料を支払わされたりする)ので要注意。

なお、改正前の民法では、隣人が切ってくれないときは裁判所の「請求認容判決」を受けてから、隣人の費用負担で(払うかどうか別として請求書は隣人に向けられる)誰かに切ってもらうのが本筋。この時間と手間をバッサリカットしてくれるのが、今回の民法改正のキモだ。

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