移住先もしくは二地域居住先の地方で、まずぶつかる壁が人脈づくりだろう。
もともと勤務先以外に自分の居場所があり、うまく人付き合いしてきた人は苦にしないだろうが、みんながみんなそうとも限らない。
周りの実例や私自身の経験をもとに、今すぐ使える《初級編》から、アグレッシブな《上級編》まで一気にご紹介しよう。

《初級編》
1.家を買った不動産会社から紹介してもらう。

拠点を設けるには、まず不動産会社への相談から始めることになる。無事物件が購入できた暁には、ご近所への挨拶に不動産会社が付き合ってくれることも。そういうタイミングをうまく使って、一歩踏み出してみよう。
不動産会社によっては、移住者どうしのサークルを主宰しているところもある。価値観がしっくりくるなら、そういうスタートもありだ。
なお、あの日不動産では山梨、長野など中部地方の人気移住先を中心に、地元で頼りになる案内人を紹介できます。どうぞご相談ください。

2.SNSを活用する。
地元テーマつながりのグループに入ってみるのもひとつの方法。食べ歩き、ラーメンなどのグルメ系や、ジョギングやヨガなどのスポーツ系、もしくは子育て、畑づくりなど生活に直結するグループもあるだろう。
まずは登録してみて、なじめそうなら続ければいいし、ちょっと違うなと思えばすぐやめればいい。あまり気負わず始められるお手軽な方法だ。

3.ペットでつながる。
家族の一員のワンちゃんを環境のいい場所で散歩させたい、広いドッグランで思い切り走らせたいと考えて移住する人も多い。
朝夕の散歩で出会った人たちとラフにつながるのは、都会でも地方でも同じ。ペットと暮らす人にとっては、つながりを作るいちばんの近道だ。

4.外食先、買い物先でつながる。
新生活を始めると、ランチやディナーで地元のお店を訪れることがあるだろう。そういうときにお店の人と仲良くなって、人脈を広げるのもひとつ。
お店で定期的にやっている料理教室イベント、創作イベントに参加してみるのもよい。同じ趣味で顔を合わせて付き合える友人ができれば、移住生活はいっそう充実したものになる。

《中級編》 
5.仕事場でつながる。

都会での仕事を辞めて、新天地で転職し、第二のスタートを切る人もいるはずだ。会社に出入りする営業の人、ときどきやってくるお客さんなど気になる人がいれば、その人と仕事以外で付き合ってみるのもいい。釣りとか猟とか、田舎ならではのワイルドな趣味が共有できるかもしれない。

6.ボランティアでつながる
案外、人との距離を詰められるのが、ボランティア活動だ。スポーツイベントとか、講演会とか、興味を引くイベントの予定があるとする。そういうときに参加者側ではなく、運営側で参加するのだ。裏方として入り込むと、
「おっ、こいつ地域になじもうとしているな」
と見てもらえる(もちろんポーズだけではなくて、ちゃんとしたやる気が大事なのだが)。
頭でっかちではなく、地域のことが心と体でわかるようになるし、何より人と仲良くなれる。最初は難しいかもしれないが、かなりおすすめ度の高い方法だ。

7.婚活、お見合いでつながる。
独身で田舎暮らしを始める人のなかには、パートナー探しを目標に掲げる人もいることだろう。婚活イベントで相手がうまく見つかれば、そのあと地域になじむスピードも2倍になる可能性が高い。
ただし、地方は人口が少ない分、世界も狭い。お見合いで断った相手が、その後たまたま行ったヨガ教室で隣にいた、なんて話もある。事後のリスクはある程度覚悟しておきたい。

《上級編》
8.家財道具の融通で知り合う。

新生活を始めるにあたり、新たな家財も必要になるだろう。普通に買うだけでなく、地元の交流サイトやSNSグループを活用すれば、お得な掘り出し物に出合えるチャンスも。
いい人とうまくやり取りできれば、物の譲り受けだけでなく、その後のつながりにも発展する。スムーズに売買や受け渡しができる自信があれば、チャレンジしてみては。

9.飲食店で隣のテーブルとつながる。
お店の人を入口にするのではなく、居合わせた別グループのお客さんと仲良くなり、地元コミュニティに入り込むという技。
山梨県では「無尽」と呼ばれるご近所どうしの親睦団体がある。気心の知れた人たちがお金を定期的に出し合い、その積立金で旅行に行ったり食事会を開いたりするのだ。
たまたま隣のテーブルがその無尽の集まりだったことがある。何となく馬が合って「次、あなたも来れば?」という流れになり、末席ながらゲスト参加させてもらった。温かく迎えていただき、とてもありがたい思い出として心に残っている。
移住者どうしのつながりも大切だが、地域で生活するには地元民との交流が貴重な人脈、情報源となることは間違いない。移住していきなりは難しいだろうが、慣れてくるとこうした出会いも生まれるようになる。

いかがだろう。「出会いがない」と嘆くのは簡単だが、人と知り合う選択肢は案外いろんなところに転がっている。少しの勇気と好奇心で新天地での生活が実りあるものになれば幸いだ。

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