今日から新年度。私たちの暮らしが大きく変わる。
4月は5,106品目の飲食料品が値上げとなるほか、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化される。
そんななか、不動産の制度も大きな節目を迎える。
「土地・建物等の利用に関する民法の見直し(利用の円滑化)」による新しい制度運用がこの4月1日から始まるのだ。
項目は大きく分けて4つ。
1.財産管理制度の見直し
以前このサイトで紹介した「所有者不明土地・建物の管理制度」だ。
ボサボサの土地や建物のせいで迷惑を被る人々が裁判所に請求すれば、管理人が適切な管理を行い、場合によっては売却もしてくれるというシステム。
町の美観に役立つだけでなく、不動産の利活用促進にもつながることが期待される。
2.共有制度の見直し
実体がない、名前だけずらっと並ぶ大人数の共有関係を、きれいさっぱり整理する制度が始まる。
登記簿に名前があるものの、行方不明や連絡不能などで意思の疎通が難しい人。このような「不明共有者」に対して公告すれば、残りの共有者の同意によって土地の変更、管理が可能になる。
また、残りの共有者は、不明共有者の持分相当額の金銭を供託すれば、その不明者の持分を取得することができる。
複雑な共有関係をシュリンクしたうえで、実際に土地と向き合う人どうしで円滑に利用、処分ができるというわけだ。
3.相続制度の見直し
長い間遺産分割がほったらかしの状態を解決する制度。
相続開始から10年を経過すると、画一的な法定相続分でシンプルに遺産分割が行われる。
親族固有の利益配分や特殊事情は考慮されない。
とにかく登記簿上の権利関係を明確にし、これ以上もめないようにしましょうという趣旨。
4.相隣関係規定の見直し
このテーマも当サイトでかつて紹介した。
水道管やガス管などのライフラインを他人の土地に通すための権利を明確にした制度。
隣地所有者が行方不明の場合も念頭に置かれ、制度設計されている。
これにより、使われず眠っている土地の活用を促進しようというわけだ。
以上、4月1日開始の制度はざっとこのような内容になる。
詳しくは機会を改めて掘り下げることにします。