前々回、前回と農地のお話。
いずれも農地を農地のまま使う場合の話だったが、農地を宅地にしてそこに住むこともありうる。
いわゆる農地転用というものだ。略して農転ともいわれる。
ただ、農地はいったん宅地にしてしまうと農地に戻すことが難しい。
また、国の農業政策を担う責任の重い土地である以上、どんな場所でも簡単に宅地へ変更できるわけではない。
その農地の種類によって、転用の難易度は変わる。
- 農振農地……農業振興地域に含まれる農地。農業振興地域とは国が農地として確保すべきと重要視し、特に指定した地域。基本的に農地転用はできないと考えていい。
- 上記以外の農地……転用にかかる一定の条件を満たせば、農地転用可能。
つまり、まずはその農地が農振農地に含まれるかどうかが、転用の鍵を握る。
転用が認められるための条件は自治体によってさまざまだが、多くは以下のような内容だ。
- 周りに家々が立ち並んでいる。
- 農業生産に支障が少ない農地である。
- 過去に転用許可が出され、その時点から10年経過している。
もし転用できそうな土地が見つかった場合、次のような流れで手続きを行う。
一般的な土地取引よりは1か月以上時間が多めにかかる。日付は目安だ。
- 毎月10日までに農業委員会へ申請。
- 審査会で話し合いがなされる。
- 翌月終わりごろ転用許可が出る。
- 2~3日後許可書類を取りに行く。
- 土地の引渡し完了
数は少ないが、農振農地を農業振興地域から外すことで転用ができるケースもある。
この「外す」作業は非常に重い話なので、基本的に年1回。
つまり売買契約から引渡しまで1年以上かかるケースもあるというわけだ。
果たして、転用許可の可能性はどれくらいなのだろうか。
許可基準は各自治体の農業委員会が定める。
そのため申請してみないことには何ともいえない。
大きな声では言えないが、同じ農業委員会でも人事異動で難易度が変わりうる。
時の運も左右するのだ。
なお、具体的な相談事があれば、あの日不動産が協力して対処しますのでご一報ください。