
前回の続き。
協定通路沿いに家を建てるためのスケジュールと必要書類を紹介しよう。
専門的な書類が多いため、不動産や建築の専門家と連携をとりながら準備することになる。
【1】事前相談
まずは、役所の担当窓口に申請書類や手続き方法を確認する。
多少の違いはあるが、おおよそ下記のような書類の作成、提出を求められるはずだ。
1~13の申請書類は打合せ段階で準備し、事前チェック用として2部提出する。
約2週間で訂正、調整を行い、許可申請のための正式な書類を完成させる。
最重要課題は10の「道についての同意書」。位置指定道路などに将来移行させる方向で、関係権利者全員の同意をとることだ。
並行して4以降の図面類を作成していく。
要注意なのが用紙のサイズ。基本はA4、A3サイズだが、場合によってはA2を指定されることも。十分確認しておこう。
- □ 許可申請書(役所でひな型をもらう。注意事項に従って記入)
- □ 委任状(代理申請の場合)
- □ 理由書(許可申請理由、通路の状況や安全性等について記入)
- □ 建築計画図(案内図、配置図、求積図、平面図、立面図、断面図、準耐火仕様書など)
- □ 周辺道路図(周辺の道路状況と申請場所を明示。道路台帳や住宅地図の加工図も可)
- □ 通路現況図(通路部分、後退済分、未後退分を色分けし、幅員、延長、協定年月日を記入)
- □ 撮影位置図(通路現況図と同じものに写真撮影位置[撮影番号、方向]を表示)
- □ 写真(通路の状況、全景、幅員、申請敷地全景、接続道路との関係など)
- □ 目次(10~12の用紙右下にページ番号をふる)
- □ 道についての同意書(協定を新たに締結する場合。用紙サイズの指定に注意)
- □ 土地建物所有者一覧表(登記簿の要約書からリスト化。土地所有者ごとに色分け)
- □ 土地所有位置図(公図をもとに作成。11と同じ色で所有地を色分け)
- □ 登記事項証明書(要約書で可。関係権利者全員分)
- □ 印鑑登録証明書(関係権利者全員分)

【2】許可申請受付
ここでいよいよ正式な書類を提出する。
申請のリミットは、建築審査会の3週間~1か月前だ。
建築審査会が開催されるのはだいたい1か月に1回なので、この申請が遅れるとスケジュールが大幅に狂う。
打合せ段階での1~13に加え、14の「印鑑登録証明書」も関係権利者全員分が必要となる。
10の「道についての同意書」はまだ原本を手元に残し、許可申請用にコピーを取る。
また、忘れてはいけないのが申請用の手数料だ。相場は3~5万円ほど。
建築審査会の同意が得られず不許可になっても、費用は返ってこない。
最低限の必要経費として頭に入れておこう。

【3】建築審査会
建築審査会とは、建築基準法に基づいて特定行政庁(都道府県や建築主事を置く市町村)に設置される附属機関。公平公正な建築行政が主眼とされている。
ここで同意が得られれば許可への道筋が見えてくるが、「同意保留」となったらまたやり直し。「不同意」となれば残念ながら許可は下りない。
建築審査会に先立ち、改めて「審査会用資料」の提出が求められる。
従来の書類に加筆修正することはないが、内容の順番を入れ替えたり、目次を新たに足したりすることがある。
【4】許可
建築審査会から2~3週間で消防署の同意を得られれば晴れて許可が下りる。
全体の流れは以上のとおりで、打合せ開始から許可まで約4か月は見ておきたい。
重ねて言うが、何よりも重要なのは関係権利者の同意だ。
どうしても通路入口付近の土地所有者が同意してくれない、一部の関係権利者が協力してくれないなどの場合は審査条件が変わってくる。
また、協定通路が長さ35mを超える場合などは、異なる規定が適用される。
そもそもこんな苦労するような土地を目指すことないんじゃないの?と思われるかもしれない。
住宅ローンの審査が通る確率も若干下がる。
だが、こういう土地は得てして価格が安いというメリットがある。
この先住宅ローンの金利上昇が見込まれるなか、こういう形で原価を抑えてみるのもひとつの方法だ。