2011年3月11日に発生した東日本大震災。
東北地方を中心に甚大な被害をもたらし、被災地以外の人々にも計り知れない衝撃を与えた歴史上まれにみる災害。
私たちが生きている限り、この日を忘れることはないだろう。

今回は災害への備え、特に大切な財産を守るための準備についてお話を。
まさかのときに命と生活をつなぐことができるよう、しっかり対策をとりたい。

1.重要な証書、書類をまとめて保管しておく
緊急の際、金融機関や病院ですぐに対応してもらえるよう、以下の証書類をまとめて保管しておきたい。

◆各種身分証明書◆

  • 運転免許証もしくは運転経歴証明書
  • 健康保険証
  • マイナンバーカード
  • パスポート
  • 在留カードもしくは特別永住者証明書
  • その他官公庁が交付した顔写真付きの各種福祉手帳など

◆権利関係の証書類、印鑑◆

  • 実印、銀行印
  • キャッシュカード
  • 預金通帳
  • 不動産の権利証書(登記識別情報もしくは登記済権利証)
  • 保険の証書
  • 株券
  • クレジットカード
  • 公共料金の領収書、領収はがき

まとめて保管、とはいうものの預金通帳と印鑑類は別々にするのがおすすめ。
各々自分だけがすぐわかる所、覚えやすい所を決め、日常的にそこへ入れておこう。
万が一の持ち出し忘れに備え、紙でコピーをとっておく、スマートフォンで撮影しておく、USBメモリに保管しておくことも必要だ。

2.お金も準備しておく
災害時、必要最低限の買い物に困らないように、現金も準備しておきたい。
非常用持出袋、緊急避難セットなどに入れておこう。
公衆電話や自販機を使えるよう、硬貨も忘れずに。テレホンカードがあればなおいい。

3.もし身分証明書をなくしてしまったら
重要書類の保管場所を決めておいたとしても、災害時に消失してしまう可能性がある。
そうなるともう現金は引き出せないのだろうか。
いや、あきらめるのは早い。
被災者を支援するため、金融庁と財務局は金融機関に対し、次のような特別措置をとるよう要請している。

災害時における金融上の特別措置
災害等における被災者等支援について ― 金融上の措置要請 ―:金融庁

具体的には、
(1)預金証書、通帳を紛失した場合でも、被災者等の被災状況等を踏まえた確認方法をもって預金者であることを確認して払戻しに応ずること。
(2)届出の印鑑のない場合には、拇印にて応ずること。
(後略)

つまり、銀行などの窓口で本人確認ができれば、預金を引き出すことが可能というわけだ。
大半の金融機関は1日あたり10万円まで引き出せる。ゆうちょ銀行は1日20万円までOK。

本人確認のためには、上に挙げた身分証明書、特に顔写真付きがあればベスト。
もしなければ、顔写真なしの身分証明書を2種類以上組み合わせる、公共料金領収書と一緒に提示するなどの方法で確認がとれる。
いずれの証明書もない場合は、住所、氏名等を申告することで対応してもらえる場合もある。まずは窓口で相談してみよう。

証書類の全滅を防ぐため、原本チームとコピーチーム、免許証チームとパスポートチームのように分けて保管してもいい。2階建て以上の住宅に住んでいる人は1階と2階に分散させるのも手だ。

4.病院で保険医療を受けるために
なお、病院で治療を受けたいが健康保険証がないという場合、以下の情報がわかれば保険医療での受診が可能だ。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 連絡先(電話番号など)
  • 加入先の保険者情報(健康保険事業の運営主体の名称。勤務先の事業所名、保険組合名、自治体名など)

5.まとめ
災害の規模、個別の状況は誰も予見できない。
大事な書類はできるだけバックアップやコピーをとり、いつ何時でもいずれかを持ち出せる態勢を作っておこう。
緊急時に何よりいちばん威力を発揮するのは「顔写真入りの身分証明書」
最低限これだけは確保できるよう、日ごろから心がけたい。

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