田舎暮らしをするなかで果物を作ってみたい、という声も時々届いてきます。
今回はそんな果樹にまつわるお話です。

果樹栽培の肝は何といっても土。
土を見るとき、まずはどこに注意するでしょうか。
特徴が表れるのは粒の大きさです。粒の組み合わせ(粒径組成)による傾向特性を土性といいます。

土の粒が大きければ透水性が高く、水はけがよいため、サラサラした乾燥状態が保てます。
ただ、水が逃げやすいということは、栄養が逃げやすいということでもあります。

逆に粒の小さな粘土が多ければ、水はけが悪く、しっとりした状態が続きます。
これは土の中に栄養をためやすいということでもあります。

どちらがよい、というわけではなく、それぞれ相性のいい果樹があります。
粘土を含む割合によって、土性は次の5種類に分かれます。

こうして見ると、土性の種類によって相性のいい果樹がきれいに分かれます。
ポイントは通気性、水はけ、養分の保存性といった点です。
また、酸性寄りかアルカリ性寄りかも見どころです。
それぞれの果樹は次のような傾向があります。

【リンゴ】

  • 肥料の吸収率がよいとはいえず、根っこがしっかり養水分をとれるよう土を改良してやる必要がある。
  • 乾燥に強いとはいえず、粘り気と保水力のある有機質の土(埴壌土)が適する。
  • 保水性と通気性が大切。
  • PH5.5~6くらいの微酸性。

【ナシ】

  • こちらも栄養の吸収率が低く、肥料をある程度しっかりやる必要がある。
  • 水分をとにかく欲しがる。3~4月の雨を生かせるとよい。
  • ある程度の湿度が必要。じめじめしすぎるとだめ。
  • 有機質の高い壌土、砂壌土と相性がいい。
  • PH5.5~6くらいの微酸性。

【モモ】

  • こちらは栄養の吸収率がよいので、肥料のやりすぎに注意。
  • 有機質を含んだ砂土が最適。乾燥に強い。水はけが重要。
  • 風通しの良い環境が大切。
  • PH5.5~6くらいの微酸性。

【ブドウ】

  • わりと土壌への順応性が高い。湿度にも乾燥にもある程度耐えられる。
  • 通気性と水はけのよい土、ざらざらした砂質土が適する。
  • 有機質と石灰質が必要。
  • PH6以上のアルカリ性寄り。

土性が5種類あることはわかりましたが、これらの違いを簡単に知る方法があります。
それは手で触ること、指でこねて細長く伸ばしてみることです。

トライするとこんな感じです。ザラザラして粒の大きな砂が多い土は、指でこねてもなかなか形になりません。
対して、粒の細かい粘土を多く含む土は、粘り気があって細長い姿になります。
こよりくらいの細さになるなんてちょっと想像しづらいんですが、こういう土もあるんですね。

詳しい土壌分析はJAなどの機関で行ってくれます。
その結果をもとに土を足したり取り除いたりすることになります。
地道な作業ですが、理想の土づくりが大切な第一歩。
素敵な果樹ライフを楽しんでください(^^)/♪

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