空き家問題が深刻化するなか、2025年4月からより多くの建物が救われることになりそうだ。

既存不適格という建物審査上の類型がある。
建築当時は適法だったが、建築基準法の法整備で後年基準にそぐわなくなった建物を指し、このように呼ぶ。
既存不適格となった建物は住宅ローンの審査で不利に扱われたり、大規模修繕が制限されたりする。

従来、これらの建物が古くなったときに改修工事を試みても、建物全体の既存不適格を解消しなければならなかった。
一部の工事にもかかわらず、全体で減点の対象となって弾かれてしまう。「木を見ず、森を見る」というわけだ。

このたびの法改正で、既存不適格のうち接道義務違反、道路内建築制限違反については、修繕の制限が緩くなる。
建物の長寿命化、省エネ化などを目指して大規模修繕工事、大規模模様替えを行う場合、現行基準を適用しないとされるのだ。
つまり、既存不適格の建物もリフォームによって生き永らえる可能性が出てきた。
ただし、そのためには工事や模様替えによって「市街地環境への影響が増大しないと認められる」ことが必要だ。

少しでも全建物の省エネ化率を上げる、既存建物の有効利用を図るための法改正といえる。
接道義務を満たしていないがためにリフォームをあきらめていた人も、ぜひ前向きに再検討してみてはいかがだろうか。

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