以前、田舎暮らしの新居目当てで来社されたお客様。
地域の話題で盛り上がり、いざ物件探しに話が移ったところで
「浄化槽の所はNGです」
と真顔で言われたことがありました。
そのときは特に理由を聞かなかったのですが、どうやら旦那様が糖尿病を患っており、服用中の薬と浄化槽の相性を心配されていたようです。
さて、糖尿病向けの薬が浄化槽に悪さをするという噂は本当なのでしょうか。
ご安心を。答えはノーです。
糖尿病の薬は腎臓や肝臓で代謝され、成分がまるまる体外に排出されることはありません。
そのため、浄化槽に与える影響はほぼないといえます。

ここでいったん浄化槽の仕組みについて振り返っておきましょう。
簡単にいうと浄化槽とは
「家庭などから排出される水の汚れを微生物の力で分解し、浄化された安全な水を自然に返す機械」
のことです。
下水道が普及していない地域で一般的に使われています。
浄化槽には主に以下の2種類があります。

  • 合併浄化槽(トイレの汚水、お風呂・キッチン・洗濯機などの雑排水をまとめて処理する浄化槽)
  • 単独浄化槽(トイレの汚水のみを処理する浄化槽。2001年4月以降は原則新設不可)

では再び糖尿病との関係に話を戻します。患者の尿成分の影響はどうでしょうか。
合併浄化槽利用の場合は、トイレの汚水が槽内で生活排水と混ざり、かなり濃度が薄められるので、ほとんど心配ありません。
ただ、単独浄化槽はトイレの水だけを処理するため、合併浄化槽に比べて尿の濃度が格段に上がります。
そのため、槽内の微生物への負荷が非常に大きくなります。
対策としては

  • なるべくこまめに水を流す。
  • ブロア(微生物に酸素を供給する機械)を強力な製品に交換する。
  • 清掃の回数を増やす。
  • 合併浄化槽に交換する。

などの方法が考えられます。

浄化槽で注意が必要なのは、一般的な薬に含まれる抗生物質です。
抗生物質の一部は体内に吸収されますが、残りは排出されます。
その影響で浄化槽内の微生物が弱ったり死滅したりすることがままあります。
そうなると槽の働きが低下し、悪臭や汚れの発生につながります。
薬を飲んでいる時期、トイレのにおいがいつもと違うな、と思ったら浄化槽業者さんに連絡しましょう。

また、トイレの洗浄剤やキッチン用洗剤にもご注意を。
トイレの塩素系洗剤は避け、その他洗剤も用法以下の量で使うように心がけましょう。
「浄化槽対応」と書かれた商品ならより安心です。
キッチン用洗剤は、環境への負荷が小さいナチュラル系洗剤がおすすめです。
界面活性剤が少なめのものを選んでみてください。

以上、浄化槽とうまく付き合うポイントをまとめてみました。
総じていうと、環境や人体に優しいローインパクトな生活を送れば、快適に使えるということ。
薬に頼らない健康な暮らしを心がけ、ハッピーな日々をお過ごしください(^^)/

おすすめの記事