東京都墨田区と港区の一部地域で、水道水から油やシンナーの臭いがするとの通報があり、これらの地域では飲用をしばらく控える事態となった。
水道水が発する異臭は、案外多くの人が経験しているかもしれない。
ひと口に異臭といっても種類はさまざま。
今回は臭いごとに考えられる原因と対処法を探ってみよう。

1.油やシンナーの臭い
まずは今回問題となったこちらの臭いから。
新築工事などに伴い、給水管の工事も行われる。そうなると給水管の切断や接合といった作業が発生し、切断時は油、接合時はシンナーを切断面付近に塗ることがある。
通常、油は工事後に拭き取られ、シンナーは自然に乾いて固化する。
ところが、まれにこれらの薬剤が水に漏れ出してしまうことがある。臭いの原因の多くはそれだ。
しばらく水を出しっぱなしにして臭いがなくなればよいが、それでも解決しなければ自治体の窓口や水道業者に相談し、一定期間使用を見合わせるべきだろう。

2.塩素やカルキの臭い
結論からいえば、これらの臭いは特に問題ない。
水道法により、蛇口の水は常に残留塩素濃度が0.1mg/リットル以上になるよう定められている。水を病原菌から守る都合上、臭いの発生は仕方ないことなのだ。季節や天候によっても変動がある。
どうしても気になる場合は高性能の浄水器を使う、ミネラルウォーターでまかなう、もしくはレモン汁や茶葉を混ぜるなどして対応しよう。

3.カビの臭い
これも結論からいえば、さほど気にする必要がない。
重複するが水道水は塩素消毒されているので、特殊事情でもないかぎり健康への影響はない。
カビ臭が気になるなら、それは水源の問題かもしれない。夏の高温で水源池の藻が旺盛に繁殖した、植物性プランクトンが大発生した、もしくは大雨で河川が増水して川底面が削られたなどの事情が考えられる。
臭いが気になるなら、なるべく冷やして飲むことをおすすめする。冷たい水が苦手なら沸騰させて冷ますのも方法のひとつ。

4.鉄錆びの臭い
異臭の代表格でもあり、身体に影響がないとも限らない。
近くで起きた火災の消火活動で大量の水を使った場合、水道管の流量が過度に増えたせいで金属臭を感じることがある。
また、長時間水を使わないでいると、水道管の鉄や亜鉛の臭いが残ることも。
しばらく流してみて臭いが収まればよいが、臭いが続く場合はやはり専門の窓口に相談した方がいい。

5.下水やドブの臭い
この臭いには気を付けるべき。
まれに自治体が上水道管と下水道管の接合を間違え、下水が上水側に流れ込んでしまったという事例がある。
下水のような臭いを感じたら直ちに使用を止め、自治体窓口に相談しよう。

水は命を支える最重要資源。
大切に使わなくてはならない半面、少し変だなと思ったら様子を見ることも肝心。
ブレーキとアクセルを踏み間違えることなく、うまく冷静に対処しよう。

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