あっという間に秋が終わり、冬が到来。
空気の乾燥とともに火災が起こりやすくなる時期でもあり、いつもに増して防災意識が求められる。
とはいえ、意識の高さは人それぞれ。
そこで今回は、火災保険について陥りがちな誤解をピックアップしてみた。
1.RC造やオール電化の住宅なら火災保険は不要?
結論からいえば、RC造、オール電化の住宅でも火災保険には加入すべきだ。
オール電化の場合、コンロもお風呂も火を使わないので火災に無縁と思われがちだが、
- たばこ
- コンセント付近にたまったほこり
- 家電製品からの漏電
- 放火、近隣からの延焼
- 自然災害による発火
によって火事は普通に起こりうる。
また、RC造の住宅であっても家財や建材が燃えれば被災は免れないし、マンションの場合は消火活動の際、階下に水漏れを起こす恐れがある。玄関や窓といった開口部、バルコニー伝いに延焼する可能性も無視できない。
『令和5年版消防白書』によれば、令和4年の木造建物の出火件数が7,783件に対し、耐火造建物の出火件数は5,786件であり、RC造建築物の火災は何ら珍しいものではない。
同年中1件あたりの損害額も木造が406万6千円、耐火造が312万8千円で、やはりいずれも高額だ。
なお、火災保険は
①建物への補償
②家財への補償
③建物と家財への補償
という3つの補償パターンから選ぶことになる。
それぞれ補償されるシーンは、
- 火災、落雷、破裂・爆発
- 風災、雹災、雪災
- 水濡れ(上階からの水漏れなど)
- 盗難
- 水災(洪水、土砂崩れなど)
など多岐にわたり、建物構造によらず火災保険を使うべきなのは自明の理だ。
最近は線状降水帯による大雨、異常高温による落雷が増加しており、火災保険の重要性はますます高まっている。
2.同じく賃貸マンションなら火災保険は不要?
では、RC造やオール電化の賃貸マンションに住んでいる場合はどうだろう。
持ち家でなくてもやはり火災保険には入っておくべきだ。
入居者目線からの補償範囲を項目別に見てみる。
①居室への補償
賃貸マンションの場合、注意すべきなのが退去時の原状回復義務。
損傷を受けた壁紙、天井、設備機器などは、入居者の負担でもとの状態に戻し、退去しなくてはならない。
これらにかかる費用は、火災保険に入っていれば補償金額でまかなうことができる。
②家財への補償
たとえば隣の家で火事が起こり、延焼によって被害が及んだとしよう。
その際、建物自体の損害はオーナー加入の火災保険で補償される。
ただし、入居者の家財は補償外。家財を補償してくれるのは入居者自身が加入する火災保険なのだ。
③近隣への補償
火災保険に入っていれば、隣り合う住戸が受けた損害もカバーできる。
水漏れなどで階下の住人に被害が及んだ場合も、火災保険で補償される。
想像を超えたリスクへ備えるためにも火災保険の意義は大きい。
対岸の火事は他山の石。
いつ何時でも想定外の事態に対応できるよう備えておこう。