9月1日は防災の日。
いつもに増して災害への備えを意識させられる日だ。
仕事柄、不動産売買の局面で地震の影響について尋ねられることはある。
残念ながら予想されるリスクについて100%の正解は提示できないのだが、不動産業者として知っている情報、開示されている内容はもちろん最大限お伝えする。
そんななか、ときには「地盤調査をお願いしたい」という希望を頂くことがある。
今回はその地盤調査のお話。
調査方法は2つに大別できる。
ひとつは「スウェーデン式サウンディング試験」。
もうひとつは「ボーリング調査」というものだ。
なお、前者は2020年10月から「スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)」というJIS公式名に変更されているが、ここでは旧来の習慣に従って「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ぶことにする。
それぞれの特徴を一表にまとめてみた。
スウェーデン式サウンディング試験 | ボーリング調査 | |
---|---|---|
目的建物の規模 | 戸建住宅など比較的小規模の建物 | マンション、ビルなど中規模~大規模の建築物、構造物 |
調査の深度 | 最大10m | 60m以上も可能 |
調査日数 | 半日~1日程度 | 1日~数週間 |
一般的な費用 | 5~10万円程度 | 25~30万円程度 |
違いは一目瞭然だ。
スウェーデン式サウンディング試験のほうがずっと安価でスピーディ、コンパクト。
一般的な戸建住宅を建てるのであれば、スウェーデン式サウンディング試験を選択してまず差し支えない。
必要にして十分な計測結果が得られる。
対して、一棟マンション、地下階付きのビルを予定する場合、通常ボーリング調査が行われる。
なお、戸建住宅であっても、地下室の規模が大きかったり、杭を深く差し込むべき特殊な事情があったりする場合は、ボーリング調査を選ぶことがある。
選択に迷ったら設計者や施工会社の意見を参考にしよう。
次に、各方法がどんな形で行われるのか見てみよう。
●スウェーデン式サウンディング試験
鉄製の棒を地面に差し込み、棒の上部に重しで圧力を加え、そのまま回転させながら貫入させたときの沈み方で地盤の強度を判断。
多くの場合、建物の四隅と中央部分の計5~7か所で測定する。
敷地全体のリスクを概括的に知ることができるが、面積が広すぎる土地では正確性を欠く恐れがある。
また、硬すぎる地盤(N値30以上の砂礫層など)、コンクリートブロックなど過度に硬い物にぶつかった場合は、その時点で測定が終了する。
地中の土を採取しないため、液状化の判定は不可能。
ただし、地下水位がないことが明白であれば、気にする必要はない。
●ボーリング調査
ボーリング機械で地中深く掘削し、その穴にハンマーを投下することで地盤の強度を診断する。
調査深度は一日につき約4~8m。
土も採取するため、中の土質や地層組成、地下水位や液状化リスク、ひいては土壌汚染も検知可能。
大がかりな機械を使うため、顕著に硬い地盤でも掘り進めることができる。
一方で機械設置用に地上約5m四方のスペースが必要であり、建物付きの土地では調査できないこともある。
ざっとこんな具合だ。
よほどの大きな建物、特殊な営業用施設を建てないかぎり、スウェーデン式サウンディング試験で十分。
土地売買を前提とする場合は、商習慣上買主が費用負担することも知っておこう。
なお、あの日不動産では地盤調査会社の紹介も行っています。
お気軽にお問い合わせください。