田舎暮らしを目指すモチベーションのひとつが、スキルを生かした独立開業。
水、緑、空気に恵まれた新天地で道を開きたいという人は多いことだろう。
その夢を叶えるため、いくつか押さえておきたいポイントがある。
舞台となる不動産物件を購入する際、以下のキーワードに注目しておきたい。
1.駐車場
地方では何といっても交通手段のメインは自動車。
スムーズな集客のため広い駐車場は必須だ。
SNSなどの口コミが消費活動に直結する今、評判が上がるとたちまち人気店となる。
それは本人にとっても地域経済にとっても、大変よいことなのだが、一方では付近に交通問題を引き起こす危険もはらんでいる。
ベーカリーなら最低4~5台分、カフェやレストランなら7~8台分を目安として確保したい。
路肩に違法駐車が増えて、近所から嫌われてしまっては元も子もない。
集客数が読めない、お店の成長カーブに大きな変化が予想されるなどの場合は、賃貸物件からスタートするのもひとつの手。
とにかく近隣トラブルを引き起こさないよう、適切な広さの駐車場を準備しよう。
2.道路のアプローチ
駐車場と同じくらい重要なのが、お店へのアプローチ。
視認性が高い場所、幹線道路から近い場所に出店すれば、集客が期待できる一方、土地値が高い、騒がしい、客層が雑多になるなどのデメリットもある。
そのため、理想の環境を整えるべく、あえて隠れ家的な立地を求める人もいる。
そこで注意すべきはお店に至る経路だ。
幹線道路から候補地までの間に既存の住宅が建て込んでいないか、道路が舗装されているか、といった点をチェックしよう。
かつてこんな実例があった。
ある移住者が静かな別荘地の奥にカフェレストランを出店した。
プロとして実績十分だったシェフの味と店舗のロケーションが評判を呼び、またたく間に人気店となった。
ところが、近隣住民の評価は芳しくない。
というのも、幹線道路からそのお店へ続く道路は約1kmにわたって未舗装であり、沿道には結構な数の定住者が住んでいた。
来店者の車はほぼ間違いなくその道を通り、そのたびに砂塵が舞い上がり、騒音と臭気が問題となったのだ。
いつしか通る車が投石を受けるトラブルにまで発展。
ついにシェフは精神的に参ってしまい、泣く泣くお店を閉めて遠く離れた地へ移ることとなった。
極端な例ではあるが、このエピソードは私たちに大切な教訓をもたらした。
暴力は決して許されるものではない。しかしその一方で、お客さんが自分の店に車でやってくる際、近所にどんな影響を与えうるか、できるかぎり調べたほうがよい。
商売がつなぐのは点と点ではなく、面の中の点ということを忘れずに。
3.市街化調整区域
聞きなれない言葉かもしれないが、よそから移住する際は要注意のキーワード。
文字どおり、ここは市街化が抑制されているエリアであり、店舗営業はおろか住宅の新築すら相当厳しい役所のチェックが入る。
土地を買ったはいいが営業ができない、という事態に陥らないよう、物件広告でこの言葉を見たらまずは身構えよう。
今ある建物の範囲でやりたいことが実現できるか、志向する業種がクリアできるか、事前に役所で調べることが重要だ。
なお、あの日不動産ではその調査のために協力を惜しみませんので、ご安心ください。