住宅金融支援機構が提供する住宅ローンに「リ・バース60」という商品がある。
これは簡単にいうと、60歳以上の人がリフォームや建て替えのためにローンを組み、生存中は毎月利息のみを返済、死亡後は物件売却によって元金を一括返済できるという仕組み。
老朽化した住宅をできるだけ軽い負担で効果的に手直しし、スムーズに次の住人へバトンタッチしてもらおうというわけだ。

このローン商品を活用しながら空き家の発生を減らし、住宅の利用促進を図るため、新たな行政サービスが香川県高松市で始まる。
上記のリフォーム、建て替えのローン返済に市の補助金が受けられるのだ。
高齢者住まい応援補助制度」というもので、これにより当初の1年間、利息返済額の3分の2相当額(最大15万円)を市が補助してくれる。

例えば借入金額1000万円、当初金利2.1%、毎月支払額18,000円という場合、最初の1年間は返済額が216,000円。
216,000円の3分の2は144,000円。
この144,000円をまるまる市が肩代わりしてくれるというわけだ。

補助対象となるための条件はいくつかあるが、
●2023年8月1日以降に「リ・バース60」のノンリコース型融資を受けていること
●担保物件が高松市内にあること
●融資契約者の住所が高松市内にあること
●融資契約時点で60歳以上であること
●返済方法が毎月利払い方式であること
などが主な内容だ。
建物は、市内で現住の住宅でも、空き家となっている実家でもいい。
ノンリコース型とは、物件の売却代金が残債務に満たない場合でも、相続人は不足額を返済する必要がない契約方式をいう。

まず2023年度の補助対象は10件。
申請受付は8月1日から始まる。

対象件数はそう多くないが、まずは空き家の発生防止に市民の関心を集め、問題意識が共有されれば大きな前進だろう。
2018年の総務省調査で香川県の空き家率は全国8位。
2022年度の高松市における空き家件数は8190件、空き家率は4.8%とのこと。
今後似たような取り組みが全国的に広がっていくかもしれない。

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