AI技術の急伸に伴い、全国各地でデータセンターの建設が計画されている。
データセンターとは、大量のデータ処理を行うために多くのサーバー、コンピュータ設備を集約した施設のこと。IT企業のみならず各種企業の中枢を集めた施設ともいえる。
かつては地方、郊外に建てられることが多かった。ところが最近は、大規模にデータが利活用される現場、つまり都市部に近い場所に建設されることが多くなった。
物理的に近い方が通信遅延を抑えられ、リアルタイムに情報を処理できるメリットがあるからだ。

しかしこの傾向が新たな問題を引き起こしている。
建設予定地の周辺住民とデータセンター設置会社どうしの軋轢だ。
これはデータセンターそのものの性質に起因している。
一般的とされる「良好な住環境」にそぐわない以下の要素だ。

1.騒音問題を引き起こす
多くのサーバーが稼働すれば、同時に大量の熱を放出することになる。安定稼働を続けるためには冷却システムを動かす必要があり、空調室外機や冷却塔が絶え間なく作動する。ここから低周波の騒音が生まれる。
機器付近からの音は約70dB~90dBといわれ、数が増えるほど騒音も大きくなる。
低周波音は波長が長く、障壁を乗り越えて流れる性質があるため、防音壁でカットするのが難しい。また、遠くまで届きやすいことも難点だ。
人によっては目の奥がズキズキするような健康被害を訴えるケースがある。

2.周辺に気温上昇をもたらす
上記のとおり、データセンターからは大量の熱が放出される。施設の巨大化、計算密度の高度化に伴い、その排熱は年々激しさを増している。
当然周辺の気温が上昇し、都市のヒートアイランド現象がいっそう加速する。
また、冷却システムを動かすためには大量の電力を必要とし、その過程で二酸化炭素(CO2)が排出される。これもまた気温上昇の一因となる。

3.日照問題を引き起こす
データセンターの大規模化が進み、東京都江東区では高さ50mもの建物が計画されたともいわれる。
もし建設されれば周辺の住宅が光を失うのは自明の理だ。

4.建設中に粉塵や騒音をまき散らす
データセンターの計画地は数千㎡から10万㎡規模にまで及ぶ。
そうした土地に高さ数十mの建物が建つのだから、建設中の周囲への影響は計り知れない。
周辺住民の生活環境、児童や生徒の通学事情を一変させる力をもっている。

こうした話題は、都市部で建設計画がもちあがってから光が当てられた。
地方であれ都市部であれ、場所にかかわらず同じ問題は起こりうる。
近所で怪しい動きがあるとき、まだ見ぬデータセンターの存在が気になるなら、下記のような項目を調べておくといいだろう。

1.その自治体に計画を抑え込める条例があるかを調べる
最近は多くの自治体が「まちづくり条例」にあたるルールを制定している。
データセンターに関し、以下のポイントをチェックしておきたい。

  • 事業者が自治体に申請し、自治体の長から許可を得る仕組みになっているか。
  • その許可は、自治体が開く住民説明会などで住民の声を聴いたうえで得られる仕組みになっているか。
  • いわゆる「建築計画のお知らせ」の標識設置は、建築確認申請の何日前までに必要か。
  • 標識設置後に住民説明会などの開催を事業者に義務付けているか。
  • 事業者に環境影響評価(環境アセスメント)の実施を条例で課しているか。

2.環境影響評価の有無を確認する
事業者が環境影響評価(環境アセスメント)を実施しているか否かについては、自治体のウェブサイトで見ることができる。条例で課されていれば、調査結果の公開は必須だからだ。
事業者のホームページで開発計画、CSR報告書、ニュースリリースなどに載っている可能性もある。
気になるなら、事業者に直接尋ねる、行政担当窓口(環境課など)に相談する、地域の環境保全団体に尋ねるといった方法もある。
これらは建設前に行うことが肝心。いったん建設が始まれば、計画変更の要求は極めて困難になる。

3.地元の議員に相談する
政治力に頼るのも方法のひとつ。なるべくグループで声を上げるほうがいい。
そのグループのなかに議員と仲のいい人がいればベターだ。

データセンターについては、2026年1月8日、千葉県白井市の近隣住民が開発許可取り消しを求めて訴訟を起こしている。
建築基準法上の建物用途の分類で「事務所」に当たるのか、はたまた「倉庫」か「工場」か。その見立てしだいで、訴訟の行方も各地の建設計画もガラッと変わる。
これについてはまた別の機会を設けます。

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