特殊伐採という言葉を聞いたことがあるでしょうか。クレーン車などの重機を入れづらい場所で行う、人力主体の伐採です。
一般的に、はしごを使って木に登り、伐採する枝や幹にロープを巻いておき、切ると同時に地上から安全に引き落とすという方法がとられます。
伐採する職人さんはアーボリストまたは空師(そらし)と呼ばれます。
この特殊伐採のポイントをみていきましょう。

1.狭い場所、複雑な地形でも伐採できる
街路樹の伐採でよく見かけるのは、クレーンで樹木を支え、機材で枝や幹を切断していく風景です。
木の周りが広く空いていればよいのですが、建物が迫っていたり、木々が密集していたりする場合、こうはいきません。
特殊伐採では人が直接木に登るので、はしごを立てるスペースさえあれば対処できます。これは大きな強みです。

2.費用を抑えられる
伐採で重機を使うと、そのレンタル代だけでも費用がかかります。作業が大がかりな分、人件費もかさみます。
特殊伐採では、1名もしくは2〜3名のチームで大きな機材を使わず作業するため、ずいぶんと費用を抑えることができます。

3.きめ細かい作業が可能
人力主体で行うため、小回りが利きます。
幹全体を切らず、屋根や軒下にかかる枝だけを切りたい、すぐ近くの建物を傷つけることなく木を取り除きたい、といったニーズに答えられます。
細かい作業だけではなく、高い老木や枯れ木を切ることも可能です。まずは今の事情を説明し、相談してみましょう。

ここで実際の作業風景を動画でご覧ください。

小屋の真横の木に登り、少しずつ慎重に切っていきます。伐採部分に巻いたロープの先は下の作業者が持っています。
最後、切り終わるタイミングで伐採者が合図を出し、これに合わせて下の作業者がロープを引っ張って木を落とします。
費用をさらに抑えたいときは、下の作業者を自分たちで買って出てもOK。伐採の職人さんとしっかり手順を打合せしましょう。

この日は自治会住民協力のもと、伐採が行われていました。
枝葉は比較的小ぶりに切り落とされるので、その場で持ち帰り、暮らしに役立てることもできるんです。薪や家の柵、鶏小屋の敷物に使う人もいましたよ(^^)
資源の循環、素晴らしいことですね。

屋根に枝が当たる、落ち葉が積もるなどの状態は、建物の劣化を引き起こします。また、隣に越境した木が倒れると、賠償問題に発展してしまいます。
大きな木は早め早めの対策が必要です。

(取材協力:堀田 裕 氏)

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