
住宅ローンの金利に異変が起こっている。
通常4月、10月に更新される変動金利。
今年は前倒しとなり、3月に三菱UFJ銀行、三井住友銀行から新たな金利が発表された。
三菱UFJ銀行の変動金利は0.945%(最優遇)で、従来より0.275%上昇。
三井住友銀行は1.175%(最優遇)で、こちらは0.25%アップした。
両行とも再編以降で最高レベルの金利上昇だ。
そこで気になるのが、今後変動金利と固定金利のどちらを選べばいいのかということ。
まずはそれぞれの特徴を振り返っておこう。
変動金利は「短期プライムレート」という金利を基準に数字が決まる。
短期プライムレートとは、金融機関が優良企業向けに1年未満で貸し出すときの金利のこと。日銀の政策金利を受けて決定される。最も信用のおける企業に向けた金利なので、数字が最大限低く抑えられている。
変動金利の利率が低いのはそのためだ。
変動金利は基本的に毎年4月、10月に金利が見直される。
ただ、変更後の金利がすぐに適用されるわけではない。
多くの金融機関では「5年ルール」という約束事が存在し、毎月の返済額が変動するのは5年後だ。
また、たとえ急激な金利上昇があったとしても、返済額の増加は1.25倍が上限というルールも一般的。これを「125%ルール」という。
ただ、5年間返済額が変わらないとしても、元本と利息の比率は変わる。
同じ月額10万円の返済でも「元本7万円+利息3万円」が金利上昇の影響で「元本6万円+利息4万円」になる可能性がある。
その分元本の目減りが遅くなり、総返済額は増加傾向となる。
125%ルールについても同じことがいえる。
名称は「変動」だが、変動が小さいときにメリットを発揮するというわけだ。
想定外の上昇があったときはリスクを負うことになる。
それでもローン利用者の約8割が変動金利を選んでいる。
長きにわたって「金利は上がらないもの」とされる時代が続いたためだ。
対して、固定金利は金利上昇幅が大きいときにメリットを発揮する。
長いスパンで金利を固定するので、金融機関にとっては不利なメニューだ。そのため変動金利より高めの金利が設定される。10年、15年、35年と固定する期間が長くなるにつれ利率も高くなる。
だが、予想外の金利上昇が起こっても返済額は変わらないという安心感がある。
利用者にとっては金利で保険をかけるような考え方だ。
固定金利の数字は長期金利、なかでも10年国債利回りの影響を受けやすい。
金融機関が当事者である債券市場の需給バランスに左右されるため、日銀の政策会合で決まる変動金利よりも動きが大きく、動き出しも早いとされている。
金融機関発表の固定金利は毎月変わり、昨年あたりからはほぼ右肩上がりの状況だ。
長い間、固定金利はあまり見向きされなかった。しかし今後は変わる可能性がある。
固定金利のほうが総返済額を減らせる時代が来るかもしれない。
鍵となるのは変動金利と固定金利の金利差だ。
2025年12月に日銀の政策金利は0.50%から0.75%に引き上げられた。
これが2026年には6月と12月の利上げを経て1.25%、2027年末には1.50%まで上昇、ともすれば1.75%に達すると一部でささやかれている。
そうなると早ければ2027年、あるいは2028年には変動金利が2%を超える可能性が出てくる。
もちろん固定金利も上がるので金利差そのものがなくなるわけではない。
ただ、その金利差が1%なのか、1.4%なのか、はたまた1%を切るのかで考え方は変わってくる。
利上げ1回につき変動金利が0.25%ずつ上がるとして、同時期借入時の固定金利を上回る可能性があるのかないのかということだ。
いっぽう、5年ルールや125%ルールで総返済額が増えるとしても、変動金利を選んで1回あたりの返済額を抑え、その余力分を運用に回せばいいという考え方もある。住宅ローンを上回る利率で増やせば結局お得というわけだ。
いずれにしても、多くの人が未経験の「金利のある世界」に突入したことは間違いない。
今後の推移をもれなくチェックして次の一手に生かしていきたい。







